資産形成

「お金は銀行に預けるな」は本当に正しいのか?

 

 

資産形成や資産運用を多くの方に促す際に「お金を銀行に預けていても増やすことはできないので、株式や債券、投資信託に投資しましょう」と言うのは証券会社等の決まり文句になっています。たしかに現在の日本は超低金利時代が続いており、銀行預金の金利ではお金が増えていかないのは事実。しかしこれによって”貯蓄から投資へ”とお金が動いているかといえば微妙なところでしょう。そこで今回は「お金は銀行に預けるな」は本当に正しいのかどうか、また正しいとしたらそう考える必要のある根本的な理由についてお話していきます。

 

銀行預金の金利でお金が増えていかないのは紛れもない事実

皆さんは現在、銀行の預金金利が年平均で何%くらいかご存知でしょうか?

あらかじめ断っておきますが、外貨ではなく円の預金です。

答えは2016年9月末現在、普通預金で年0.001%、定期預金(1年もの)で年0.01%です。

もちろん金利の自由化がなされてから銀行各行が独自に自行の預金金利を設定していますので、これらを上回る金利をつけている預金もあります。

ただそれでも定期預金(1年もの)で年0.2%程度というのがせいぜいです。

仮にこの年0.2%の定期預金(1年もの)に100万円を預けたとしたら、1年後には元本の100万円に利子(税引き前)が2,000円ついて戻って来ることになります。

ちなみに現在預金金利の利子は20.315%源泉分離課税されますので、実際の手取りの利子は1,594円となります。

定期預金(1年もの)の金利が最も高かったのが1991年で、この時には年6.00%でした。

この金利で同様に100万円預けたとしたら、1年後の利子(税引き前)は60,000円です。

先ほどの4,000円と比較して差額56,000円、実に15倍もの利子がついていたということになりますね。

いわんや普通預金の金利である年0.001%では100万円預けても1年後の利子はたったの10円しかつきません。

これでは銀行によって異なるものの、ATMの入出金手数料や振込手数料の方が大きくなり、トータルではコスト負けして損している場合もザラにあるでしょう。

皆さんも感覚的にはお分かりいただいている方がほとんどでしょうが、このように銀行預金の金利でお金が増えていかないのは紛れもない事実です。

この点から考えれば、「お金は銀行に預けるな」は至極正しいということになります。

 

「お金は銀行に預けるな」は正しいのに”貯蓄から投資へ”とならない謎

それではお金を銀行預金に預けていても増えていかない、「お金は銀行に預けるな」は正しいのにもかかわらず、”貯蓄から投資へ”とお金がなかなか動いていかない理由はどこにあるのでしょうか?

これには2つの理由が考えられます。

1つには日本が長らくデフレに陥っているからというものです。

このデフレとは物価が持続的に下がり続ける現象のことです。

物価が下がるということは、相対的に現金、お金の価値が上がることに他なりません。

それにデフレ下では円高株安となりやすいですから、株式や投資信託へ投資しても損失が生じてしまう場合が少なくありません。

これではたとえ超低金利でお金が増えていかなくても、元本保証で安全な銀行預金にお金を預けておく方が得策ということになります。

ただここにきて日本の現状、そしてこれからは長期的にデフレからインフレへと転換する素地が出来てきました。

インフレはデフレとは逆に物価が持続的に上がり続ける現象のことです。

物価が上がるということは、相対的に現金、お金の価値が下がることに他なりません。

インフレ下では円安株高となりやすいですから、株式や投資信託への投資が利益を生む可能性が高まります。

こうなってくると元本保証で安全であっても超低金利でお金が増えていかない銀行預金にお金を預けておくのは得策ではないということになります。

理由のもう1つは、皆さんの多くが銀行預金を金融商品として捉えていないからです。

現金のまま保有することと銀行預金にお金を預けることは根本的に違います。

これが混同されやすいのは現金のまま保有することを「タンス預金」と形容するからでしょうか。

しかし、皆さんが普通預金や定期預金といった銀行預金にお金を預けることは、銀行側にとっては預金者である皆さんからお金を借り入れていることになり、銀行はこの借り入れた預金を企業への貸出や国債等への運用に回しています。

この銀行側にとって預金は借り入れているお金であるということが重要で、だからこそ預金者の皆さんは預金金利に基づいて利子を受け取ることができるわけです。

この点から考えれば、銀行預金は金融機関が販売する商品としての金融商品に他なりません。

この銀行預金も金融商品の一つであると考えるか否かというのは雲泥の差が生じます。

これは銀行預金と株式や債券、投資信託といった他の金融商品を並列の選択肢として比較検討できるかどうかに繋がるからです。

前者のデフレが長らく続いたというのは私たちにどうにかできるものではありませんが、後者は誤解に基づくものですから、今回のお話を契機として「銀行預金は金融商品である」という正しい認識をお持ちいただければと思います。

もちろん銀行預金は預金保険法に基づいて銀行各行ごとに元本1000万円とその利子はたとえその銀行が破綻の憂き目にあっても保証されるというペイオフの対象であり、これも他の金融商品と並列にされづらい要因の一つであるともいえるでしょう。

ただインフレ時代に備えて資産形成や資産運用を行う上ではこのペイオフを過大評価して銀行預金を特別視するのはむしとマイナスの方が大きいということはぜひご理解いただければと思います。

政府や金融機関が喧伝しているからではなく、あくまでもご自身やご家族の資産をつくるため、増やすため、そして保全するためにこれからは”貯蓄から資産形成へ”と移行するのが必要不可欠であると考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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