金融経済

GDPは?成長率は?EU経済の過去と現在

 

 

未来を予測するためには過去から現在までを知る必要があります。EU経済の今後の見通しを考えていくために2016年現在のEU(欧州連合)全体のGDP(国内総生産)や経済成長率を時系列での推移とともにお話していきます。さらにもう少し詳しくEU圏内の国別でも見ていくことで各国の影響力の度合いについても知っておきましょう。

 

世界の中のEU経済〜GDP・経済成長率・インフレ率・失業率〜

まずは世界全体の中でEU(欧州連合)は現在どのくらいの経済規模となっているかについて見ていきましょう。

現在(2016年6月末)のEU加盟国は以下の28ヵ国です。

 

EU加盟国(2016年6月末現在)

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経済規模はGDP(国内総生産)、とくに名目GDPではかります。

通常GDPは自国通貨ベースで見ていくのですが、ここではEUと他の国とを比較するために基軸通貨であるアメリカドル(以下USD)ベースで見ていきます。

 

世界の名目GDPランキング(USD、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

上図のように直近(2015年)EUはアメリカの17.95兆ドルに次いで16.22兆ドルと世界で2番目の経済規模であることがわかります。

これが世界全体でどのくらいの割合を占めているかというと以下のとおりです。

 

世界の名目GDPシェア(%、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

EUの経済規模は世界全体の2割強、1/5以上を占めています。

それではEUの経済成長率はどのようになっているでしょうか。

ここでは2005〜2016年(2016年は予測値)の経済成長率の変遷を名目GDPランキング上位のアメリカ、中国、日本とともに見ていきましょう。

ちなみにここでいう経済成長率は自国通貨ベースで名目GDPから物価変動による影響を取り除いた実質GDPの前年からの変化率を表しています。

 

世界の経済成長率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

上図のように経済成長率は中国が突出しています。

ただし、中国の国家統計局が公表している統計データは信ぴょう性が疑われており、実態を表しているかどうかわからないことは念頭におく必要があります。

さて、中国に次いでは直近アメリカ、EU、日本の順となっています。

三者ともに2008年のリーマンショックを皮切りに翌年の2009年に大幅なマイナス成長を記録しましたが、その翌年2010年にはプラスに回復しています。

そこからは三者三様で、アメリカは比較的安定して年+2%前後である一方、EUは2009年10月から一連のギリシャをはじめとした欧州債務危機がありましたので、2012年には再度マイナス成長に転落、直近ようやく年+2%まで回復してきています。

また、日本については2011年に東日本大震災、2014年に消費税率引き上げ(5%→8%)による影響でマイナス成長に2度転落しており、直近でも年+0.5%弱の低成長に喘いでいる状況です。

この経済成長率は物価変動による影響を取り除いた実質GDPの変化率だと先ほどお伝えしました。

それではEUをはじめアメリカ、中国、日本の物価変動による影響、つまりインフレ率はどのように変遷しているのでしょうか。

 

世界のインフレ率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ここでのインフレ率は消費者物価総合指数の前年比を表したものです。

上図をご覧いただくと、まず中国のインフレ率が非常に大きく変動していることに目が行くのとともに、日本がリーマンショックの翌年の2009年から2012年までの4年にわたってインフレ率がマイナス、つまりデフレに陥っていたことに目を奪われるでしょう。

実は先ほどの経済成長率で日本が2010年にアメリカやEUよりも高い数字が出ているのは、リーマンショックの影響によるマイナス成長からの回復が上手くいったというよりは、インフレ率のマイナス分で水増しされた部分が大きいのです。

日本と比べるとアメリカやEU、中国はリーマンショックの影響で2009年にインフレ率が大幅低下していますが、その翌年の2010年には上昇に転じています(中国にいたっては上昇しすぎとも受け取れますが・・・)。

しかし、直近では日本が再度インフレ率がマイナスとなることが予想され、アメリカやEUも低いインフレ率に留まっています。

日銀が物価安定目標としているように、経済成長にとってはインフレ率+2%、前後±1%の+1〜+3%の範囲で推移するのが心地よい水準とされていますので、+1%を切った水準に留まることは決して好ましいものではありません。

物価を測る指標としてはここで挙げた消費者物価総合指数以外にも、生鮮食品を除いた総合(コアCPI)や食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)もありますので、一概にこれだけを見て言い切ることはできませんが、少々心配な傾向ではあります。

ここまではEUをはじめアメリカ、中国、日本といった地域や国全体の経済規模について見てきましたが、それではこれら地域や国に住む一人ひとりの経済的な豊かさについてはどうなっているでしょうか。

これをはかる指標としては一人当たり名目GDPがあります。

一人当たり名目GDPをその地域や国の人口で割ったものです。

ここでもEUと他の国を比較するために便宜上名目GDPはドルベースで換算しています。

 

世界の一人当たり名目GDP(USD、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

EUは日本とほぼ同水準の31,968.92ドルとなっています。

アメリカやオーストラリアが50,000ドルを超える中で、中国が8,670ドル、インドにいたっては1,617.31ドルに止まっているのが特徴的です。

これだけの差が生じるのは、もちろん名目GDPの差も影響していますが、より以上に人口の差が関係しています。

 

世界の人口(人、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

やはり中国やインドは10億人を超えた人口大国だけあって、現在の名目GDPの水準では一人当たり名目GDPでより一層見劣りしてしまうのは致し方ないのかもしれません。

ちなみに以下のように世界の人口構成の割合を見ると、中国とインドで全体の約36%も占めていることがわかります。

 

世界の人口構成シェア(%、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ただ、こう見ていくと、EUは3.22億人の人口で一人当たり名目GDPが55,805.2ドルを誇るアメリカには及ばないものの、5.07億人の人口に対してその1/4程度の日本とほぼ同水準の一人当たりGDPを出せている点では健闘しているという見方もできるでしょう。

この点からすればEUの地域内の一人ひとりは平均的に見るとそこそこ経済的な豊かさを享受できているといえます。

ただ、その一方で気にかかるところもあります。

それは雇用についてで、これをはかる指標としては失業率があります。

失業率とは労働力人口(就業者と失業者の合計)に占める失業者の割合のことです。

各々の地域や国によって定義がやや異なるので単純比較するには注意が必要なのはたしかですが、ここでは参考までに提示しておきます。

 

世界の失業率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

一目見ておわかりいただけるかと思いますが、EUは日本や中国、アメリカと比較して高水準となっています。

失業率は当然低いに越したことはない指標ですから、2013年のピークを境に低下してはいるものの、直近でも9%前後の水準となっているのは十分懸念材料といえるでしょう。

 

EU(欧州連合)の国別経済比較

ここからはEU(欧州連合)の加盟28カ国(2016年6月末現在)の経済比較をします。

まずは各国の経済規模を先ほどまでと同様に名目GDPを用いて見ていきます。

 

EUの国別名目GDPランキング(USD、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ここでは上位10ヵ国を示していますが、トップ3のドイツ、イギリス、フランスはEU圏外を含めた世界の名目GDPランキングでもアメリカ、中国、日本に次ぐ水準となっています。

EU全体の名目GDPに占める各国の割合は以下のとおりです。

 

EUの国別名目GDPシェア(%、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

上図にあるように、ドイツ(20.7%)、イギリス(17.57%)、フランス(14.93%)の上位3ヵ国でEU全体の名目GDPの半分超(53.2%)、これに4番手のイタリア(11.19%)を加えると6割超(64.39%)を占めていることがわかります。

それではEU各国の経済成長率はどのように変遷しているでしょうか。

ここでは名目GDPの上位4ヵ国(ドイツ・イギリス・フランス・イタリア)とEU全体の経済成長率が2005〜2016年(2016年は予測値)の12年間でどのように移り変わっているか見ていきます。

 

EUの国別経済成長率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

目立ったところでは、イタリアが2009年10月以降のギリシャをはじめとした欧州債務危機の当事国(PIIGS、ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシャ・スペイン)の1つということもあり、2011〜2014年の4年間にわたってマイナス成長に陥っています。

ただ、直近(2015年)プラスに転じてきていることも見て取れます。

一方で、ドイツ、イギリス、フランスの3ヵ国は欧州債務危機によってEU全体がマイナス成長に陥った2012年も含めて2010年以降はプラス成長を維持しています。

とくにイギリスは直近(2015年)ドイツやフランスがEU全体の経済成長率を下回る中でも、しっかりと上回る結果を残しています。

この状況下で、イギリスが今回の国民投票でEUからの離脱が決定し、これに向けて動き始める中、今後どのように経済成長率が変化していくか気にかかるところです。

それではこの経済成長率を表すにあたっての物価変動による影響、つまりインフレ率はどのように変遷しているでしょうか。

 

EUの国別インフレ率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

EU全体はもちろん、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの各国ともに先ほどのアメリカや中国、日本のようにインフレ率がマイナスとなる事態には一度もなっていないのが特徴的です。

ただ、そうはいっても直近の2015年にしても2016年の予測値にしても年0〜+1%の範囲にすべて収まっており、低インフレが心配される、あるいはさらに悪くするとデフレに陥る懸念があるといって良い状況にあります。

先ほどEU全体としては人口(5.07億人)の割にそこそこ経済的な豊かさを一人ひとりが享受できているとお伝えしました。

それではEUの国別ではどうでしょうか。

ここで一人当たり名目GDPを見ていきましょう。

 

EUの国別一人当たり名目GDP(USD、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ここではEUの中でも国別名目GDPランキング上位10ヵ国とEU全体のドルベースでの金額を示しています。

図のようにEU全体を上回ったのが7ヵ国、下回ったのが3ヵ国という結果となりました。

名目GDP上位4ヵ国でいえば、イギリスが43,770.69ドルでトップ、次いでドイツが40,996.51ドル、フランスが37,675.01ドル、そしてEU全体(31,968.92ドル)を下回る形でイタリアが29,886.58ドルとなっています。

先ほどと同様にEU各国の人口を見てみましょう。

 

EUの国別人口(人、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ここでは先ほどの中国やインドのように人口が突出して多いために一人当たりGDPが小さくなるとはいえないことがわかります。

これは名目GDPの上位4ヵ国がそのまま人口の上位4ヵ国となっているからなのでしょう。

ちなみにEU各国の人口構成の割合は以下のとおりになります。

 

EUの国別人口構成シェア(%、2015年)

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IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

このようにドイツ(16.14%)、イギリス(12.83%)、フランス(12.67%)、イタリア(11.98%)の人口上位4ヵ国でEU全体の半分超(53.62%)を占めています。

名目GDPについてもこの人口上位4ヵ国でEU全体の6割超(64.39%)を占めていますから、少なくとも名目GDP上位の国家間では一人当たりGDPの不均衡は小さいといえるでしょう。

ただし、EUの加盟28ヵ国で見ると、最上位のルクセンブルクが98,987.19ドルと2位のアイルランドの55,532.92ドルと比べても突出して高く、最下位のブルガリアが19,097.27ドルですので、見え方がかなり変わってくることは否めないかと思います。

それでは先ほどEU全体の懸念材料として示した雇用についてEUの国別ではどのような推移となっているのでしょうか。

ここでも労働力人口(就業者と失業者の合計)に占める失業者の割合、失業率を見ていきましょう。

 

EUの国別失業率の変遷(%、2005-2016)

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Eurostat、IMF – World Economic Outlook Databasesを基に作成

 

ドイツが一貫して失業率を低下させているのに対し、イタリアが右肩上がりに失業率を上昇させている姿が目立ちます。

直近2015年や2016年の予測値を見ると、EU全体の失業率に対してドイツとイギリスが大幅に下回る水準となっている一方で、フランスとイタリアは上回る水準となっています。

EU全体の失業率が高水準であり、懸念材料といえる中で、経済規模(名目GDP)や人口の上位4カ国だけで見ても明暗が分かれている現状は、EU内部にくすぶる問題の根深さを示しているようにも見えます。

 

*目次

【予告】特集:英国民投票はEU崩壊への道筋を示すのか?

【第1回】崩れ去る国家ではない未来の形〜EU(欧州連合)とは何か?

【第2回】GDPは?成長率は?EU経済の過去と現在

【第3回】英国民投票の衝撃!なぜEU離脱は決定されたのか?

【第4回】日本への影響は?イギリスのEU離脱のメリットとデメリット

 

 

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