まずはじめに正しく理解しておいていただきたいのは、この「リスク」という言葉についてです。
一般に「リスク」というと直訳して”危険性”という意味で使われる場合が多いですが、株式投資をはじめとした投資の世界でのリスクとは”不確実性”のことをいいます。
ですから、「この株は下がっているのでリスクがある」といった使い方は正確にいえば誤りです。
投資した金額に対してどのくらいの収益が得られるかの割合を表す「リターン」という言葉がありますが、このリターンが将来的にどのくらい期待できるか(これを「期待リターン」といいます)の不確実性がリスクというわけです。
少々わかりづらいと思いますので一つ例示しましょう。
ある株式Aがあって年間の期待リターンが年率5%、リスクが10%だったとします。 この時、期待リターンの幅を「期待リターン±リスク」で計算すると、5%±10%=-5%〜15%となります。
ちなみに銀行預金のようにこの”不確実性”としてのリスクが0の場合、期待リターン=年利となって、上記の例のような幅はもちません。
ここまででリスクという言葉について正しく理解していただいた上で話を進めましょう。
株式投資のリスクは主としては以下の3つになります。
1. 価格変動リスク
2. 流動性リスク
3. 信用リスク
一つずつ見ていきましょう。
株式投資のリスク
価格変動リスク
これは比較的わかりやすいかと思います。
株式の1株あたりの価格を株価といいますが、この株価は取引されている時間内に値上がったり値下がったりしています。
ですからみなさんが株式を購入したとして、その購入した時の株価に対してどのくらい値上がるか、はたまた値下がるかは購入時点ではわからないため、株式にはこの価格変動リスクが付きものなのです。
株式投資のリスク
流動性リスク
実際の株式取引で取引時間中に保有している株式の売却注文を出してもその株式の売買数量が少ないと取引が成立しない場合があります。
また、売却できても実際に売却代金を受け取ることができるのは約定日から起算して4営業日目と必ず約定日と受渡日の間には3営業日分の時差が生まれます。
このように株式を換金するまでのリスクというのが流動性リスクというわけです。
株式投資のリスク
信用リスク
これは発行体である株式会社が倒産ないしは上場廃止することによりその株式が紙くずになる、売却できなくなる、またこれらのおそれが生じることにより株価が大幅に下がるリスクのことです。
とくに(確率は極めて低いものの)発行体である株式会社が倒産してしまった場合は投資したお金はまったく戻ってきませんので注意が必要です。
以上見てきましたように、株式投資は預貯金とは異なり元本保証がありません。
裏返せばこういったリスクを負うからこそ値上がった時に売却して利益を上げたり、あるいは保有期間中に株主としての権利を得たりすることができるのです。
とくに株式投資をこれからはじめたい、あるいははじめたばかりという方は、ここのところを肝に銘じておきましょう。