PERとはPrice Earnings Ratio の略で、日本語では「株価収益率」と訳されています。
株式会社の出す利益(純利益)に対して現在の株価が高いか低いかを判断するための指標です。
どのように算出するかといいますと、以下のとおりになります。
PER(倍)= 株価(円) ÷ EPS(円)
ここでEPSとは、Earnings Per Shareの略で、一株あたりの当期純利益のことをいいます。
これは「EPS=当期純利益÷発行済株式総数」で求めます。
※厳密にいうともう少し限定されますが、ここではざっくりとこれだけ理解してください。
たとえば、ある上場企業Aの株価が1,000円で、EPSが50円だとしたら、PERは20倍ということになります。
一般的な目安としてPERが20倍超ならその銘柄は割高(買われすぎ)、20倍未満ならその銘柄は割安(売られすぎ)とされています。
ここまでがいわゆる教科書とおりの説明になります。
ここで、「そうか、そしたらPERが20倍を割っている銘柄を探して買えばいいんだな」と思われた方
素直で素晴らしい・・・
ですが、従順すぎます。株式投資を検討、実行する際はもっと疑いの目を持たなければなりません。
この目安としているPER20倍というのはあくまでも一般的にいわれているに過ぎないものです。
こちらのチャートをご覧ください。
※リンク先に入ったら月足と書かれたボタンをクリックしてご覧ください。
これは日経平均株価に採用されている225銘柄のPERの平均値の推移を表したものですが、低い時には10倍割れ、高い時にはなんと300倍近いところまで上がっています。
この300倍近い時は記憶に新しい2008年のリーマンショック後に大幅に株価が下落した時に記録されたものです。
ここでわかることが2つあります。
何かわかるでしょうか?
一つはPER自体がその時々の市場環境に左右されるということです。
そしてもう一つはPERを構成している株価とEPSは時間的ずれが必ず生じるということです。
後者は少し説明が必要ですね。
株価というものは市場が動いている時は時事刻々変化するものです。
一方でEPSは当期純利益ですから四半期(3ヶ月)ごとや半期(半年)ごと、年度(1年)ごとの決算期にしか変化しません。
ですから、先ほど紹介した2008年のリーマンショック後の株価急落時などは、その後決算期にEPSも大幅に下がっているので一気にPERは20倍を割る水準まで収束していますが、裏を返せば収束するのに決算期を待たなければならないというわけです。
つまりPERを判断材料の一つとして使うのは良いですが、その数値の大小を絶対視して判断しては決してならないということです。
今回は一例としてファンダメンタルズ分析の中からPER(株価収益率)についてお話しました。
今後ファンダメンタルズ分析の他の指標等やテクニカル分析といった分析方法についてお話する機会を設けたいと思いますが、その時に共通していえることが一つあります。
それは、
一つの分析方法に依存してはならない
裏を返せば、
必ず複数の分析方法を用いる必要がある
ということです。
もちろんたとえ複数の分析方法を用いても将来の株価を正確に予測することはできません。
ただその確率をある程度引き上げることは可能です。
この点は非常に大切ですから、ぜひ常に念頭に置いておくようにしてください。