投資信託というと毎月分配型投信を思い浮かべる方も多いでしょう。この毎月分配型投信とはその名のとおり「毎月決算を行い、月々分配金を支払うことを目指す投資信託」のことです。それではNISA(ニーサ)口座で投資信託の運用を検討する場合、この毎月分配型投信についてはどのように扱っていけば良いでしょうか?今回はこの点をお話していきましょう。
毎月分配型投信はNISA口座での運用に向いていない
まず単刀直入に結論からお伝えすると、NISA口座での運用に毎月分配型投信は向いているとはいえません。
その主たる理由は3つあります。
以下に一つずつ説明していきましょう。
1. 分配金の受取において非課税メリットを受けることができない可能性がある
投資信託の分配金には普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類あります。
普通分配金は「課税される分配金」、特別分配金は「課税されない分配金」で、受け取る分配金がこのどちらになるかは個別元本(投資家のみなさんそれぞれの平均取得価額)に対して決算日の基準価額が高いか、低いかによって決まります。
決算日の基準価額 > 個別元本 ⇒ 普通分配金 課税
決算日の基準価額 < 個別元本 ⇒ 特別分配金(元本払戻金) 非課税
上記のとおりになりますので、特別分配金(元本払戻金)はそもそも非課税なわけですから、特別分配金(元本払戻金)で元本を取り崩し続けるようなファンドではNISA(ニーサ)の非課税メリットを享受することはできません。
2. 分配金受取を再投資した場合、非課税投資枠を消費してしまう
NISA口座の毎年の非課税投資可能上限額は100万円です。
毎月受け取る分配金を再投資する場合、この再投資分も投資額に含まれますので、毎月自動的に再投資しているうちにこの非課税投資可能上限額である100万円を超過してしまう可能性が十分考えられます。
その超過した分は特別口座や一般口座といった課税口座で投資されることになりますので、当然利益は課税対象です。
このようにNISA口座内で毎月分配型投信の分配金を再投資するのは、非課税投資可能上限額の100万円をいつの間にか超過する可能性が高いですから、非課税投資枠を無駄に消費してしまう可能性が高いといえます。
3. 毎月分配型投信は投資効率が悪い
この点については NISA(ニーサ)口座で毎月分配型投信を保有することというよりは、毎月分配型投信の商品性そのものの問題といえます。
そもそも資産形成は毎月分配型投信で行うべきではない
ここまでは、毎月分配型投信がNISA口座での運用に向いていないことの説明をしてきました。
ここで一つみなさんにお聞きしたいのは、みなさんはNISA(ニーサ)を活用して運用を行う理由は何かということです。
もちろん様々な理由があるかと思いますが、みなさんに共通していえるのは、使い道に応じて効率的にお金を貯めていくことではないでしょうか?
そう考えると、毎月分配型投信はNISA口座での運用に不向きであるだけでなく、資産形成そのものにとって向いていない投資信託といえるでしょう。
毎月分配型投信は相変わらずおすすめや人気のランキングの上位を占めているようですが、少なくともNISA(ニーサ)活用等による資産形成には向かないことは十分に理解しておいていただければと思います。