最近になって「アベノミクスは成功か?それとも失敗か?」という議論をされることが多くなってきました。しかしそもそも「アベノミクスとは?」と聞かれて正確にどういうものか答えられる方は存外に少ないのではないでしょうか?そこで今回はアベノミクスとは何か、現状で成功か失敗かを問う前に知っておきたいことについてお話していきます。
アベノミクスとは?
アベノミクスとは、2012年12月に発足した第2次安倍政権で安倍晋三首相が提唱した経済政策のことです。
アベノミクスの由来は、首相の名字である「安倍(アベ)」と経済の英訳である「economics(エコノミクス)」をかけ合わせたことによります。
同様の由来のものとしては、1980年代に米国大統領だったロナルド・レーガンが提唱した経済政策「レーガノミクス」があります。
アベノミクスの政策目標は首相官邸のHPによればシンプルに以下のとおりとなっています。
「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」という日本経済の課題を克服するため、安倍政権は、「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指しています。
首相官邸HPより引用
※ デフレについてはこちら(今さら聞けない物価、需要と供給、インフレとデフレの意味)をご参照ください。
アベノミクス「3本の矢」とは?
Image:首相官邸HP
上記の「デフレからの脱却」と「富の拡大」を実現するために、安倍政権が掲げる3つの政策のことを”アベノミクス「3本の矢」”と呼んでいます。
3つの政策それぞれの詳しい解説についてはまた別の回に譲りますが、ざっくり説明すると以下になります。
アベノミクス「第1の矢」 大胆な金融政策
日本経済全体が長らく陥っているデフレマインドを払拭するためには、日本国内に流通するお金(日本円)の量を増やす必要があり、これを実現するために日本銀行(日銀)が中心となって行なう金融緩和政策のこと。
※ 日銀についてはこちら(お金の流れを読む!〜金融の意味、金融機関の種類と役割〜)をご参照ください。
アベノミクス「第2の矢」 機動的な財政政策
大規模な経済対策予算によって、政府自らが率先して需要創出する財政拡張政策のこと。
※ 需要についてはこちら(今さら聞けない物価、需要と供給、インフレとデフレの意味)をご参照ください。
アベノミクス「第3の矢」 民間投資を喚起する成長戦略
民間企業や個人が投資や消費等を行ないやすくして経済成長を促すための規制緩和等の成長戦略のこと。
※ 経済成長についてはこちら(経済の意味と仕組み、GDP(国内総生産)を簡単にわかりやすく解説!)をご参照ください。
「アベノミクスは成功か?失敗か?」を問う前に
第2次安倍政権が誕生するとともにアベノミクスが開始してから2年半が経過しました。
ここにきて巷間「アベノミクスは成功か?失敗か?」を議論する向きが多くなってきたように思います。
もちろんここまでのアベノミクスの成果を検証することは重要であることは否定しませんし、また別の回でお話していきたいことでもあります。
ただその前に必ず理解しておいていただきたいことがあります。
それは、「アベノミクスのような経済政策は国(政府)が行なうものであるがゆえに、大なり小なり日本経済全体はその政策の方向性に動く可能性が極めて高い」ということです。
グローバリゼーション(世界の地球規模化)が広がり世界経済が緊密につながっている現在では、一国の政府の経済政策のみでその国の経済の方向性がすべて決定づけられるとは言い難いでしょう。
ただ、少なくとも国内では最も大きな影響力をもつ機関の動向は、その国の経済の方向性を左右するものと考えなければなりません。
これを踏まえた上で一ついえることがあります。
それは、先ほどお話したとおり、アベノミクスでは「デフレ脱却」を目指しているため、今後の日本はインフレ(物価上昇)になる可能性が極めて高いということです。
ですから、現在の日本経済の方向性から資産形成や資産運用を考えるに際して「インフレ対策」が必須ということになるのです。
現状のアベノミクスが成功か失敗かを議論する前に、ぜひみなさんにはアベノミクスのような「国(政府)の経済政策の目指す方向性に沿って資産形成や資産運用をしていくことは必要不可欠である」ということを肝に銘じておいていただきたいと思います。