2012年末からのアベノミクスにより円安株高へと大きく相場が動いたこと、また2014年よりNISA(ニーサ)が満を持して開始されたことから俄かに「資産形成」に対する注目が集まっています。一方で従来から「資産運用」の必要性が大手金融機関を中心に叫ばれています。それではこの「資産形成」と「資産運用」の違いとは何でしょうか?またこれらを区分けする意味はあるのでしょうか?今回はこれらについてお話していきます。
「資産形成」と「資産運用」の違いとは
「資産形成」と「資産運用」の違いについては以前にご説明した記事がありますので、以下に引用します。
「資産運用」とは…「既に形成された資産のある方」が金融資産や不動産資産への投資を通じて、さらなる利益を求めたり、減らさないように資産を利用すること。イメージとしては10ある資産を配分を考えながら増やすこと。
<中略>
「資産形成」とは…「現在資産のほとんどない状態の方」が0→1→2→3→4→5と資産を着実に増加させていこうとすること。資産運用の前段階といえる。最低1,000万円の金融資産までは資産形成の段階。
ポイントは、資産運用が「既に形成された資産のある方」といういわゆる貯蓄が既にあって余裕のある方にその対象を限定しているのに対し、資産形成は「現在資産のほとんどない状態の方」といっているように資産運用するほどの余裕がまだないすべての方を対象としているということです。
ですから、資産形成を”資産運用の前段階”としているわけですね。
ここで資産形成から資産運用に段階を移すに際して”最低1,000万円の金融資産”で区切っているのはあくまで目安です。
現在や将来の人生設計や家族構成等によって人それぞれ必要なお金の額は違うでしょう。
「資産形成」と「資産運用」を分ける意味ってあるの?
結論から申し上げると「資産形成」と「資産運用」を区分けする意味はあります。
もちろん「資産形成」においても「資産運用」においても、その時々の経済情勢を考えて、預貯金や株式、投資信託、保険といった金融商品あるいは不動産をうまく組み合わせ(資産分散)、各々の値動きに合わせて売買する(時間分散)ことが大切である点については変わりありません。
しかし0から資産をつくる「資産形成」と既につくられた資産を運用する「資産運用」とでは決定的な違いがあります。
「資産形成」は0からないものを生み出すわけですから”攻め”の要素が大きいです。
その一方で「資産運用」はすでにつくられた資産の価値を目減りさせないように運用することですので”守り”の要素が大きいです。
また「資産形成」は月々や半年ごと、1年ごとに生まれる収入と支出の差額を元手として金融商品などを売買することになりますので、必然「積立投資」になりやすく、資産分散よりも時間分散を意識する割合が大きくなります。
これに対して「資産運用」では既にまとまった資金がある状態ですから、もちろん相場が時間の経過とともに変動することを考えれば時間分散が「資産運用」においても重要であることに違いはないですが、「資産形成」と比較するとより資産分散を意識する必要性が生じます。
このように考えていくとご自身が今「資産形成」の段階なのか、あるいは既に「資産運用」の段階に入っているのかを明確に区分けしていくことは目的を明確化することに繋がりますから、投資対象や手法を選択する際にも重要な鍵となるのです。
この点を十分にご理解いただいた上で、「資産形成」ないしは「資産運用」に励んでいただければと思います。
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