「お金とは何か?」皆さんはお金の意味や存在意義について考えたことはあるでしょうか?実際改めて聞かれてみると思いもよらなかったという方が多いかもしれません。ただ本サイト「資産形成.com」にお越しいただいた皆さんは資産形成や資産運用、つまりお金を貯める、増やすことに少なからぬ関心をお持ちかと思います。そこでこの貯める、増やす対象である「お金」というモノについて改めて考えてみるのも何かの参考になるかもしれません。今回は「お金とは何か?」を深掘りしていきます。
お金には3つの役割がある
お金には以下の3つの役割があります。
「価値の尺度」
「交換の媒介」
「価値の保蔵」
ちょっと言葉が難しいですね。
一つずつ解説していきましょう。
【お金の役割1】価値の尺度
価値の尺度とは、物やサービスの価値を示す基準ということです。
これは物々交換と比較するとわかりやすいかと思います。
物々交換とは、たとえば米1俵と馬1頭を交換するというように、別々の物やサービスを直接的にやり取りすることをいいます。
この物々交換の欠点は、その別々の物やサービスどうしの価値が交換するのに適切かどうか統一された基準がないことです。
これでは、米1俵と馬1頭を交換することもあれば、米2俵と馬1頭を交換することもあるというようなことが起こってしまいますよね。
こういった問題を解消するためにお金は統一された物やサービスの価値を示す基準という役割を果たしているというわけです。
米1俵が1万円、馬1頭が100万円であれば、物々交換するにしても馬1頭と交換するためには米100俵必要だということがすぐにわかります。
【お金の役割2】交換の媒介
交換の媒介とは、交換を行う際の支払い手段ということです。
これも物々交換と比較するとわかりやすいでしょう。
先ほどで米100俵と馬1頭が等しい価値があることがわかりましたが、これがわかった上でなお物々交換をしなければならないとすると、米100俵を用意しなければ馬1頭を手に入れることはできないことになります。
しかし米というのは収穫時期がありますし、しかも確実に100俵分も収穫できるとは限りません。
一方で、馬を手にいれるまでに何年もかかってしまうようでは、今必要なのにもかかわらず用が足りなくなってしまいます。
そこで馬1頭が100万円なのであれば、米100俵を用意するのではなく、それと等しい価値である100万円というお金を交換を行う際の支払い手段として使えばこういった問題は解決されるというわけです。
【お金の役割3】価値の保蔵
価値の保蔵とは、将来に備えて貯えておくことができるということです。
物やサービスそのものは、その価値を維持したままで蓄えておくことが難しい場合が多々あります。
先ほど挙げた例であれば、米は何年も経過すれば古米となって価値が落ちますし、馬も病気になったり亡くなってしまったりします。
しかし、お金はそういったことはありません。
何年、何十年経っても100円は100円、1,000円は1,000円、10,000円は10,000円のままです。
お金の意味とは・・・
ここまでお金の3つの役割についてお伝えしてきました。
ここで分かるのは、お金は私たちが社会生活を滞りなく過ごすことができるようにする便利なツール(道具)ということです。
これが一義的なお金の意味といえるでしょう。
ただ、そうはいってもお金はお札であればただの紙、小銭であればただの金属にすぎません。
それでも、お金の3つの役割を果たすことができるのは、皆さん自身を含む全員が「お金はその同じ金額のものと交換できる」と信用しているから機能しているのです。
つまり、お金の3つの役割の源泉は「信用」の一言につきるということになります。
この「信用」というのは非常に重要です。
そして、これは「”何を”信用するか?」という話につながっていきます。
一昔前、それは「金(きん)」でした。
日本の円、米国のドル、英国のポンドなど各国のお金は「金(きん)」の裏づけがあって価値が保証されていました。
それでは、現在はどうでしょうか?
「金(きん)」など実物の裏づけはありません。
その代わり、現在はその国や地域の政府や中央銀行がそのお金の価値を保証しています。
これを難しい言葉で「不換紙幣(ふかんしへい)」といいます。
つまり、日本であれば、日本政府や日本銀行(日銀)といった紙幣や硬貨の発行元が日本のお金である円の価値を保証しているというわけです。
皆さんは日常生活で円を使っているわけですから、知らず知らずのうちにその価値を保証している政府や日銀を「信用」しているということになるのです。
資産形成や資産運用を行うことは、お金を貯める、増やしていくことに他なりません。
私たち日本国民にとっては、このお金とは日本円を指します。
このお金、日本円は政府や日銀が価値を保証しているものであり、それを私たち日本国民が「信用」することで成立しています。
ですから、資産形成や資産運用を学び実践している方やこれからしようと考えている方は、この「信用」の度合いを注目する必要があるということです。
具体的には、「物価」や「為替」が直接的なものになります。
「物価」であれば、インフレになるとお金の価値が下がり、デフレになるとお金の価値が上がります。
「為替」であれば、円安になるとお金の価値が下がり、円高になるとお金の価値が上がります。
ここで注意していただきたいのは、お金の価値が上がれば上がるほど良いというものではないですし、逆に下がっていくことが悪いというものでもありません。
要はバランスの問題です。
ただ、お金の価値が下がるのであれば、現在はお金そのものをなるべく保有しない方が良いという結論になります。
少々込み入ってきたので今回はここまでとしますが、では現在はお金そのものを保有すべき時なのかそれとも保有すべきでない時なのかは皆さんがそれぞれ考えてみていただければと思います。