ジョージ・ソロスと立ち上げたクォンタム・ファンドにて10年間で4200%のリターンという驚異の運用成績を残し資産運用の第一人者となった冒険投資家ジム・ロジャーズ。今回は彼の過去の名言から株式投資の成功の秘訣を探るとともに、最新インタビュー記事から彼が目先の日本株の見通しをどう見ているかについてご紹介いたします。
【名言】ジム・ロジャーズが語る株式投資に成功するために必要なこと
まず、ジム・ロジャーズ氏の投資手法について簡単に説明しておきます。
彼は、投資する対象を株式のみに絞っておらず、通貨や商品(コモディティ)などにも投資しており、また取引も現物取引だけではなく、先物取引やオプション取引といったデリバティブ取引も行っています。
また、投資する対象ごとに利益が出るよう臨機応変に対応させるため、ロング(買い)とショート(空売り)の両方でポジションを取っています。
これを見ると、一般の個人投資家が彼の投資手法を参考にして取引するのは極めてハードルが高いといえるでしょう。
ただ、彼の投資手法ではなく、彼の投資に対する姿勢は参考になります。
そこで、彼が過去の名言といえる発言から株式投資の成功の秘訣を探っていこうというわけです。
ジム・ロジャーズ氏は各所でインタビューに応じる等しており、名言といえるものが沢山ありますが、今回は以下に「株式投資に成功するために必要なこと」として3つの発言をご紹介します。
「自分で調べた会社の株を買いなさい。さもなければ、家で映画を見ているほうがいい」
ジム・ロジャーズ氏は投資する対象を徹底的に調査することで知られています。
それも、机上ではなく、現地に赴いてまでです。
これが”冒険投資家”の異名をもつ所以でしょう。
彼と同様に現地に赴いてまで調査するかどうかはともかくとして、誰かに勧められたからとか、みんな買っているからというような理由ではなく、自分で調べた結果投資する価値があると見込んだからその会社の株を買うという姿勢は非常に大切です。
これは、「自分が知らないものには投資しない」という投資の大原則にも通ずるものです。
「大儲けするには絶望が支配している間に脚を踏み入れなければダメだ」
みんなが上がると思って買っている時はすでに天井まで到達している可能性が高く、逆にみんなが下がると思って売っている時というのはすでに底打ちしている可能性が高いものです。
”絶望が支配している間”というのは、後者の「みんなが下がると思って売っている時」ですから、その時に逆に勇気を持って買うことができるかどうかというのが、株式投資の成否を分けるといっても過言ではありません。
これは江戸時代から伝わるわが国の相場格言である「人の行く裏に道あり花の山」にも通ずる話です。
※ この「人の行く裏に道あり花の山」についてはこちら(相場格言に学ぶ株式投資でやってはいけないこと)を参照のこと。
ただ一点注意したいのは、「落ちるナイフをつかむな」とも言われており、下がり続ける株価はどこまで下がり続けるか誰にも分からないということです。
これを念頭に置いた上で、底打ちしたかどうかは慎重に判断する必要があります。
「幸運は常に努力を怠らない人の元に訪れる」
株式投資は「濡れ手で粟」のギャンブルと同一視して行うべきものではありません。
ここまでご紹介した2つの名言について実践しようと思ったら、ある程度は時間と労力を割くことが必要があります。
もちろん株式投資には運の要素もあります。
ただ、「努力をした者が必ず成功するとは限らないが、成功した者は須らく努力している」ということです。
冒険投資家ジム・ロジャーズは日本株の見通しをどう考えているか
ここからは、最近出されたインタビュー記事(ジム・ロジャーズ「もしも私が今、30代の日本人だったら」)から、ジム・ロジャーズ氏が目先の日本株の見通しをどのように考えているかをご紹介します。
株式については、現在の日経平均株価は過去の最高値の半分くらいですから、まだ高水準ではありません。安倍さんがどんどん紙幣を刷っていますから、長期的に見れば借金が増えるだけなので日本にとっては悪いことですが、投資家にとっては好機が見込めます。
年内に日経平均株価が3万円を超えることはないと思いますが、日銀が非常に弱気になり、さらに紙幣を刷って市場浮揚策を打ち出すことは予想できます。安倍政権は投資を促すために税優遇策を実施し、年金基金に株式への投資を促しています。株式投資の初心者は知名度のある企業、つまり優良銘柄からスタートしますから、今後も日本の株式市場では、優良銘柄がベストな選択肢であるという状況が続くでしょう。
ジム・ロジャーズ氏が、目先日本株に強気であることがわかります。
安倍政権が経済政策(アベノミクス)によって株価の上昇を意図していることから、”知名度のある企業、つまり優良銘柄”を”ベストな選択肢”としています。
ただ、あくまでもこれは彼の見解であって、株式投資においては”自分で調べた会社の株”のみを買うようにしましょう!