デリバティブ取引には、大別すると、「先物取引」・「オプション取引」・「スワップ取引」の3種類あります。今回は、スワップ取引についてお話します。スワップの意味やスワップ取引とは何か、またスワップ取引の仕組みについてできる限りわかりやすく解説していきます。資産形成や資産運用をする際、直接スワップ取引をする機会はほとんどないかもしれませんが、少なくとも知識を身につけておくことは、選択肢を広げる意味で大切です。この点を念頭に置いてしっかり学んでいきましょう。
前の記事:【デリバティブ】オプション取引の仕組みをわかりやすく解説!
スワップ取引とは?
スワップとは、英語で”swap”と表し、日本語では「交換」を意味しています。
これが転じて、金融のデリバティブ取引における「スワップ取引」とは、等しい価値のキャッシュ・フロー(※)を交換する取引のことです。
※ キャッシュ・フローとは、お金の流れのこと。
スワップの代表的な商品としては、金利スワップ、通貨スワップ、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、etc.があります。
上記のうち金利スワップと通貨スワップはよく対比されます。
金利スワップとは、同じ通貨の異なる種類の金利を交換する取引のことを指します。
一方で、通貨スワップとは、異なる通貨の異なる種類の金利を交換する取引のことを指します。
スワップ取引の仕組み
スワップ取引の仕組みをイメージ図にすると以下のとおりになります。
ここでは「金利スワップ」を例にとっています。
ここでは、AさんとBさんがそれぞれ銀行に元本1,000万円、期間5年の借入金を持っているとしましょう。
元本と期間は同様ですが、Aさんは固定金利、Bさんは期間1年の変動金利で借りています。
ただ、Aさんは「今後金利が下がる可能性があるかもしれないから変動金利のほうがいい」、一方でBさんは「今後金利が上がると困るから固定金利のほうがいい」と思っています。
そこで、AさんとBさんの元本と期間が同一であることを利用して、<BさんがAさんに固定金利を支払う>、その一方で<AさんがBさんに変動金利を支払う>ようにします。
このようにすることでAさんとBさん両者の希望を叶えることが可能になります。
このようにAさんの固定金利とBさんの変動金利を交換することを金利スワップというわけです。
この金利スワップでは両者ともに5年間の返済を終えるまで変動金利がどう上下するかしないかというのがわかりませんので、最終的にAさんとBさんのどちらが得(金利負担が少ない)かというのは返済を終えるまでわかりません。
簡単にではありますが、ここまでがスワップ取引の基礎となる部分です。
まとめ記事に戻る:基礎はこれだけで十分!デリバティブ取引入門【まとめ】