資産運用を自分一人で行うに越したことはありませんが、信頼できるパートナーに相談したいという方もいらっしゃるでしょう。資産運用相談というと銀行や証券会社といった金融機関の相談窓口や担当者、独立系FP、IFAへの有料/無料相談が考えられます。
それでは誰に相談するのがおすすめと言えるでしょうか?それでは本題に入りましょう。
銀行・証券会社・保険会社
金融機関の相談窓口や担当者に資産運用相談するのは避けたほうが良い!
単刀直入にいうと銀行や証券会社、保険会社といった各金融機関の相談窓口や担当者に資産運用の相談をするのは避けたほうが賢明です。
これには2つ理由があります。
1つ目の理由としては、資産全体に対する包括的な相談ができないことが挙げられます。
たとえば、今銀行の預金に1000万円預けていたとしましょう。
この場合、銀行であれば定期預金や仕組預金、投資信託、証券会社であれば株式や債券、投資信託、保険会社であれば各種保険商品といったように何らかの金融商品を勧誘される可能性が極めて高いです。
しかし、ここで実は預金1000万円の他に住宅ローンの残債務2000万円があったとしたらどうでしょうか?
そうすると、本来であればこの預金1000万円は住宅ローンの繰上げ返済に回すほうが将来的な支払い利息の負担を軽減する意味で有効な場合が多いということになります。
ただ、この事実を伝えたとしてもよほど良心的な方でない限り、金融機関の相談窓口や担当者は残念ながら金融商品の勧誘に終始することが少なくありません。
これは各金融機関というのが、元々取り扱う金融商品の販売会社であって資産運用を包括的に相談する場ではないためです。
また、これは金融機関の相談窓口や担当者に資産運用の相談をするのを避けたほうが良い2つ目の理由、金融機関の相談窓口や担当者に対する評価体系が資産運用の包括的な相談に向いていないことに繋がっていきます。
どういうことかというと各金融機関は相談窓口や担当者に対して金融機関側に入る手数料等の多さによってボーナス制度や表彰制度、また昇進に関わる評価体系を敷いている場合が多いのです。
そうするとかなり乱暴な言い方をすれば、皆さんが資産運用で満足な成果を得られたかどうかに関わらず、金融機関側に手数料等により収益を多くもたらした人が評価される制度になってしまっているわけです。
どうでしょうか?
先ほどの例で、目の前に預金1000万円という手数料を上げるチャンスを与えられた相談窓口や担当者が、住宅ローンの繰上げ返済という最適解(に近い)選択肢を皆さんに伝えることなく、できるだけ手数料の高いその金融機関で取り扱っている金融商品を勧誘する可能性が極めて高いことがお分かりいただけたかと思います。
これらの点を踏まえると、もしかするとあなたにとって最も身近な存在といえるかもしれませんが、金融機関の相談窓口や担当者には資産運用の相談をしないほうが良いと言わざるをえないでしょう。
資産運用相談の専門家
独立系FPやIFAに資産運用相談するのはおすすめできる?
独立系FPやIFAと言われても馴染みがないので、よくわからないという方が多いかもしれません。
そこでまずはこれらについて一つずつご説明していきましょう。
FPとは、ファイナンシャル・プランナーの略称ですが、金融商品、株式、保険、不動産、税金、年金、ローンなどの幅広い知識を有し、状況に応じて弁護士、税理士、保険、不動産の専門家などの協力を得ながら、トータルな資産のプランニングをし、実現の手助けをするお金の専門家のことです。
実は、このFPは先ほどお話した銀行や証券会社、保険会社といった金融機関に所属していることが多く、こうした人たちを企業系FPといいます。
この企業系FPは、FPでありながらも先ほどお話したとおり各金融機関の評価体系に縛られていますので、包括的な資産運用の相談を行うには適しているとは言い難い存在です。
その一方で、独立系FPは、その名のとおり金融機関に所属せずに独立した個人・法人として包括的な資産運用の相談をすることのできる専門家といえます。
それではIFAとはどういった存在なのでしょうか?
IFAとは、Independent Financial Adviserの略称で、独立・中立的な立場から資産運用のアドバイスを行う専門家のことです。
このIFAは欧米を中心に世界的に拡がっていますが、日本の場合、内閣総理大臣の登録を受けて証券会社や銀行と業務提携を結び、株式や債券、投資信託などの売買の仲介を行う金融商品仲介業者に所属する外務員を指します。
ですから、IFAは金融機関から独立した資産運用のアドバイザーでありながら、金融商品の仲介を行えるのが特徴的です。
それでは、この独立系FPやIFAに資産運用の相談をするのはどうでしょうか?
一言でいえば、金融機関の相談窓口や担当者に相談することに比べればベターな選択といえるでしょう。
元々資産運用の包括的な相談を担う存在であり、かつ金融機関の相談窓口や担当者に課されているような評価体系もありませんから。
ただし、注意点もあります。
それは、独立系FPの場合、たとえば弁護士や税理士のような士業のように国家資格を有していないと開業できないというものではありませんので、業者によって玉石混淆としていることは否めません。
この点からすると、内閣総理大臣の登録を受けて金融商品仲介業者の資格を有するIFAのほうが良いといえるかもしれません。
ただ、このIFAについても気をつけるべき点がないではありません。
というのは、金融商品仲介業者というのは、顧客から直接手数料等を受け取るということはありませんが、仲介の相手方となる証券会社に入る手数料等の一部を証券会社から受け取るという報酬体系を敷いているため、IFA業者によって間接的な手数料稼ぎに走っている可能性は否定できません。
どうすれば最適な資産運用のパートナーと出会えるのか
そこでこの項の最後に、本当に信頼できる資産運用のパートナーを探すためのポイントを一つお伝えしておきます。
それは、独立系FPやIFAの主催する無料セミナーを受講してみるということです。
いきなり片っ端から個別相談してみるというのも悪くはありませんが、相手は対面のプロですから、なかなかその場で冷静な判断を下すというのは難しいことが少なくありません。
その点、ご自身以外の方も受講されているセミナーであれば、個別相談よりも冷静に業者の質を見極めるのに適していると言えるかと思います。
また、最近ではSNSやキュレーションサイトも発達していますから、その業者に所属している役職員個人の考え方を参考材料として追っていくというのも一つの手と言えるかもしれません。
これらを総合勘案した上で皆さんそれぞれにとって信頼のおけるパートナーをぜひ見つけていただければ幸いです。