REIT(リート)へいざ投資するにあたって注目を集めやすいのは分配金利回りです。たしかにこの分配金利回りを比較して銘柄選別するのも一つの手であることは違いありませんが盲信してしまうのは危険です。そこで今回はREIT(リート)の利回りに関するもう一つ指標NOI利回りをご紹介しつつ利回りを中心としたREIT(リート)の銘柄選別のポイントについてお話していきます。
REIT(リート)比較のための指標
分配金利回りとは
まずは復習の意味合いも込めて分配金利回りについて説明していきます。
REIT(リート)における分配金利回りとは、投資額に対する年間予想分配金の割合のことです。
計算式にすると以下のとおりになります。
分配金利回り(%)=年間予想分配金(円)÷投資額(円)×100
たとえば、年間予想分配金3万円のREIT(リート)に1口100万円投資した場合、分配金利回りは3%(=3万円÷100万円×100)となります。
ちなみに2016年3月10現在の東証REIT指数の分配金利回りは3.33%です。
株価指数の配当利回りは、同日で日経平均株価が1.75%、東証株価指数(TOPIX)が2.09%ですから、REIT(リート)の分配金利回りのほうが株式の配当利回りよりも高くなる傾向にあります。
これはREIT(リート)の分配金は株式の配当金と比較して税制上の優遇措置があるからだというのは以前(※1)お話しましたね。
※1 REIT(リート)とは何か?〜その魅力とリスク〜を参照のこと。
それではREIT(リート)の銘柄選別をするにあたって分配金利回りが高い銘柄を選択すれば良いのでしょうか?
もちろん参考にする分には良いでしょう。
ただ、冒頭にもお伝えした通り、この分配金利回りが高いことだけを頼りにREIT(リート)の銘柄選別をしてしまうのは望ましくありません。
なぜならば、不動産の取得や売却等によって予想分配金は都度変動しますので、仮に予想分配金が下がってしまえば分配金利回りも下がってしまうことになるからです。
また、予想分配金が一定だったとしても、REIT(リート)価格も日々上下していますので、これも仮にREIT(リート)価格が上昇し投資額が増加してしまえば分配金利回りは下がってしまうことになります。
このように、一口に分配金利回りといっても日々この指標自体が上下動するわけですから、これを絶対視するのは避けるべきといえるでしょう。
REIT(リート)比較のための指標
NOI利回りとは
そこでREIT(リート)の銘柄選別する上で、分配金利回りとともに参考にしていただきたいのがNOI利回りです。
まず、NOIとは、”Net Operating Income”の略で、不動産賃貸の純利益の額のことです。
具体的には、損益計算書(P/L)の中から、不動産賃貸に関する部分を抜き出して、保有する不動産からの収益を測定します。
NOIの計算式は以下のとおりになります。
NOI(百万円)=不動産賃料収入(百万円)-不動産賃貸費用(百万円)+減価償却費(百万円)
たとえば、あるREIT(リート)が、不動産賃料収入40,000百万円、不動産賃貸費用20,000百万円、減価償却費7,000百万円だとすると、NOIは27,000百万円(=40,000百万円-20,000百万円+7,000百万円)となります。
さて、このNOIはREIT(リート)の銘柄選別をするにあたって単純比較はできません。
それは、資産規模が大きくなるほど、NOIの額も大きくなるため、そのREIT(リート)の資産効率性が高いか低いかを測ることはできないからです。
そこで、NOI利回りによる比較が必要となります。
このNOI利回りとは、不動産額に対する年換算NOIの割合のことです。
NOI利回りの計算式は以下です。
NOI利回り(%)=年換算NOI(百万円)÷不動産額(百万円)×100
先ほどの例でのNOI27,000百万円が6ヶ月であったとすると年換算NOIは54,000百万円(=27,000百万円×2)となり、また、不動産額が1,000,000百万円だった場合、NOI利回りは5.4%(=54,000百万円÷1,000,000百万円×100)となります。
このNOI利回りを高めるためには、収益性の高い不動産を取得・運用する、経費を下げるが2つの大きな方法となります。
このように、NOI利回りは分配金利回りと比較して資産効率性というREITの基本能力を示す指標といえます。
株式投資でいうとROE(※2)がこれに当たると考えていただくと理解しやすいかもしれませんね。
※2 株式投資の重要指標「ROE(自己資本利益率)」とは何か?を参照のこと。
分配金利回りにも言えることですが、NOI利回りを使ってREIT(リート)の銘柄選別をする場合、対象投資不動産(※3)が同一のもの同士で比較することをおすすめします。
これは対象投資不動産ごとに流動性(換金性)が著しく異なったり、また景気変動に左右されやすいか否かという違いが大きいからです。
※3 何種類?REIT(リート)が保有する不動産の種類と特徴を参照のこと。
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