株式投資をする際に重要なのは「株価が安い時に買って、高い時に売る」ことです。これは当然と思われる方が多いかと思いますが、実際に売買をする上ではその銘柄が安いのか高いのかを判断するのは容易ではありません。そこでこれを調べるためにファンダメンタルズ分析やテクニカル分析という方法があります。今回は重要指標の一つであるPER(株価収益率)について説明しつつお話を進めていきます。
株式投資の鉄則〜ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析〜
株式投資で利益を上げるための鉄則は、「株価が安い時に買って、高い時に売る」に尽きます。
単純で当たり前と思われたかもしれませんが、非常に大切ですので、株式投資を検討、実践する際には必ずこれを念頭に置いてください。
※ 応用として「株価が高い時に売って、安い時に買い戻す」というのがありますが、これはまず基礎をしっかり身につけてからの話ですので、また別の機会をつくって説明しますね。
ではこの「株価が安い時に買って、高い時に売る」を実践するために考えなければならないことは何でしょうか?
これは少なくとも2つ考えなければならないことがあります。
それは、「銘柄選択」と「売買タイミング」です。
つまり、「どの銘柄を選んで、いつ買っていつ売るか」ということです。
ここまでは比較的わかりやすいかと思います。
それでは、具体的にこの「どの銘柄を選んで、いつ買っていつ売るか」という「銘柄選択」と「売買タイミング」を考えていくために、どのような方法を採れば良いのでしょうか?
実はここからが頭を悩ませるところです。
具体的な方法論に落とし込む段階になると、本当に様々な方法が考えられます。
この方法、「銘柄選択」や「売買タイミング」の分析の仕方は大別すると、これも2つあります。
ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析
上記のようになります。 ではそれぞれどのような分析方法になるかといいますと、以下のとおりです。
ファンダメンタルズ分析・・・現在の情報から、将来の株価変動パターンを予測する
テクニカル分析・・・過去の株価変動パターンから、将来の株価変動パターンを予測する
上記2つのそれぞれのもう少し突っ込んだ説明は次の回にしていきます。
ただこれらを説明していく前に一つ注意していただきたいことがあります。
実はこれら2つの分析方法の内、そのどちらかのみを使う方たちを指して、それぞれファンダメンタルズ分析「派」、テクニカル分析「派」などと呼ばれることがあります。
そこでありがちな話ですが、それぞれの「派」が自己の分析手法が有用性が高く、一方の分析手法は有用性が低い、ないしは無用であると主張し、半ば論争が続いているような状況です。
ただ私たちはこの論争は不毛であると考えています。
なぜそう考えるかといいますと、たしかにどちらの分析方法も有用性はあります。
ただ将来の株価変動パターンを予測するという誰にもわからない将来のことを予測するのが目的ですので、どちらの分析手法も完全ということはあり得ないからです。
ですから、ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析、どちらの分析方法も学んで、どちらが自分に合った方法であるかを見極めていただきたいと思います。
株式投資の重要指標PER(株価収益率)の意味とは?
PERとはPrice Earnings Ratio の略で、日本語では「株価収益率」と訳されています。
株式会社の出す利益(純利益)に対して現在の株価が高いか低いかを判断するための指標です。
どのように算出するかといいますと、以下のとおりになります。
PER(倍)= 株価(円) ÷ EPS(円)
ここでEPSとは、Earnings Per Shareの略で、一株あたりの当期純利益のことをいいます。
これは「EPS=当期純利益÷発行済株式総数」で求めます。
※厳密にいうともう少し限定されますが、ここではざっくりとこれだけ理解してください。
たとえば、ある上場企業Aの株価が1,000円で、EPSが50円だとしたら、PERは20倍ということになります。
一般的な目安としてPERが20倍超ならその銘柄は割高(買われすぎ)、20倍未満ならその銘柄は割安(売られすぎ)とされています。
ここまでがいわゆる教科書とおりの説明になります。
ここで、「そうか、そしたらPERが20倍を割っている銘柄を探して買えばいいんだな」と思われた方
素直で素晴らしい・・・
ですが、従順すぎます。株式投資を検討、実行する際はもっと疑いの目を持たなければなりません。
この目安としているPER20倍というのはあくまでも一般的にいわれているに過ぎないものです。
こちらのチャートをご覧ください。
※リンク先に入ったら月足と書かれたボタンをクリックしてご覧ください。
これは日経平均株価に採用されている225銘柄のPERの平均値の推移を表したものですが、低い時には10倍割れ、高い時にはなんと300倍近いところまで上がっています。
この300倍近い時は記憶に新しい2008年のリーマンショック後に大幅に株価が下落した時に記録されたものです。
ここでわかることが2つあります。
何かわかるでしょうか?
一つはPER自体がその時々の市場環境に左右されるということです。
そしてもう一つはPERを構成している株価とEPSは時間的ずれが必ず生じるということです。
後者は少し説明が必要ですね。
株価というものは市場が動いている時は時事刻々変化するものです。
一方でEPSは当期純利益ですから四半期(3ヶ月)ごとや半期(半年)ごと、年度(1年)ごとの決算期にしか変化しません。
ですから、先ほど紹介した2008年のリーマンショック後の株価急落時などは、その後決算期にEPSも大幅に下がっているので一気にPERは20倍を割る水準まで収束していますが、裏を返せば収束するのに決算期を待たなければならないというわけです。
つまりPERを判断材料の一つとして使うのは良いですが、その数値の大小を絶対視して判断しては決してならないということです。
今回は一例としてファンダメンタルズ分析の中からPER(株価収益率)についてお話しました。
今後ファンダメンタルズ分析の他の指標等やテクニカル分析といった分析方法についてお話する機会を設けたいと思いますが、その時に共通していえることが一つあります。
それは、
一つの分析方法に依存してはならない
裏を返せば、
必ず複数の分析方法を用いる必要がある
ということです。
もちろんたとえ複数の分析方法を用いても将来の株価を正確に予測することはできません。
ただその確率をある程度引き上げることは可能です。
この点は非常に大切ですから、ぜひ常に念頭に置いておくようにしてください。