GWや夏休みといった長期休暇では日常から離れて海外旅行に行きたいという方も多いかと思います。この海外旅行というと悩ましいのが外国為替です。皆さんは外国為替の仕組みを正しく理解しているでしょうか?今回はドル円の為替レートを例に円安・円高といった外国為替の基本から丁寧にわかりやすく解説していきます。ぜひ海外旅行前に学んでお役立てください。
- 1 2018年の現在(いま)、海外旅行に対する日本人の感覚は変わった!
- 2 海外旅行で気をつけなければならないのは「外国為替」
- 3 外国為替とは?
- 4 通貨の交換=外国為替は「為替レート」を使って行われている!
- 5 「円安」「円高」って一体どういうこと?
- 6 ドル円に学ぶ「円安」「円高」〜外国為替の基礎まとめ〜
- 7 実は私たちの生活に密接に関わっている「外国為替」
- 8 貿易の影響が大きい生活を送っているからこそ外国為替の基礎知識は役に立つ!
- 9 私たちの生活にとって為替は「円高嬉しい、円安悲しい」が基本
- 10 「投資」では円安が”悲しい”から”嬉しい”に変わる!
- 11 結局為替が「円安」はメリット?それともデメリット?
- 12 外国為替の見方は「生活」と「投資」どちらに着目するかで180°変わる!
- 13 「生活」と「投資」の横軸でなく、為替の「円高」と「円安」の縦軸で見てみよう!
- 14 「投資」を何もしていない状態こそ為替リスクがあると考えましょう!
- 15 外国為替の影響をプラスマイナスゼロにするよう意識し続けるのが最も大事!
2018年の現在(いま)、海外旅行に対する日本人の感覚は変わった!
およそ30年前までの日本では海外旅行はかなりセレブで敷居の高いものでした。
当時は新幹線ですらお子さん達の憧れの乗り物だった時代です。
そんな時代に長期休暇を利用して飛行機に乗って、ハワイやグアム、ヨーロッパ等へ旅行に行くなんて手の届かない遠い憧れのものでした。
漫画の『ドラえもん』でスネ夫くんが家族でハワイへ行った自慢話をのび太くんが聞いて、「すごいなぁ。うらやましいな〜」って泣きながらドラえもんに言っていた昔懐かしいあの感覚です。
しかし、2018年の現在(いま)、時代は変わりました。
現在では海外旅行をすること自体はそれほど難しい時代ではなく、大手の旅行代理店では、「こんなに安い値段でヨーロッパへ!」というようなツアーも数え切れないほどあります。
週末を利用して金曜日の夜から韓国へ焼肉食べ放題やエステツアーに行ったなんていう友達もみなさんの周りにもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
アメリカのハリウッド映画や韓国を中心としたアジアのアイドルの絶大な人気もあり、私たち日本人が抱く外国に対するイメージも30年前とは比べものにならない近しいものになっていることも海外旅行を身近にした要因の一つだと思います。
今後はより一層GWや夏休みのような長期休暇を利用して友達や恋人やご家族と海外旅行に行くのが当たり前という時代になっていくことでしょう。
海外旅行で気をつけなければならないのは「外国為替」
海外旅行を満喫しようと思った時に一番関わってくるのは外国為替だと思います。
「円高だからブランド品を買うチャンス!」とか言われても、実は円高・円安ってどういうことかよくわからないという方も案外多いのではないでしょうか?
ここまでをお読みいただき、「私には海外旅行は興味ないからいいや」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、海外旅行にかぎらず、みなさんが日本でごくごく普通に生活しているだけでも、この外国為替というものが及ぼす影響というものはものすごい大きいですから、誰しも外国為替と無関係ではおれません。
要するに、外国為替を知らずに生きていくのは難しい時代にすでになってきているのです。
外国為替とは?
外国為替とは、日本の通貨である「円」と外国の各通貨を交換することです。
外国の各通貨とは、たとえばアメリカの「ドル」やイギリスの「ポンド」、中国の「元」、また国単体ではありませんが欧州連合(EU)の統一通貨である「ユーロ」等のことです。
今回は先ほどもお伝えしたとおり日本の「円」とアメリカの「ドル」を交換する、つまりドル円の為替を例にとってお話していきます。
ここまでの教科書とおりの説明では分かりづらいという方は、たとえばアメリカへ旅行に行くことをイメージしてみてください。
その時に日本の「円」、現金でいうとたとえば福沢諭吉の載っている一万円札をアメリカのニューヨークに持って行って現地のレストランなどで使おうと思ってもできませんよね。
この場合だと現地で使われている通貨は「ドル」紙幣なわけですから。
福沢諭吉公には大変失礼な話ですが、アメリカの現地の方たちにとっては一万円札は「ただの日本人のおじいさんが載っている紙」にしか思われません。
これは海外旅行にかぎらずビジネスでも同じですし、アメリカ以外の国へ旅行やビジネスで赴く際にもその国にはその国で使われている通貨があるわけですから同じことです。
これである程度「外国為替」そのものについてぼんやりとでも理解できたかと思います。
通貨の交換=外国為替は「為替レート」を使って行われている!
たとえばTVのニュース等で「今日のドル円の為替は”1ドル=120円”です」などと言っているのを聞いたことがありますよね。
このように外国の各通貨(上記の場合はアメリカの「ドル」)をいくらの日本「円」と交換するかという比率のことを為替レートといいます。
ドル円の場合は、アメリカの1ドルという単位を基準にしますので、TVのニュース等では”1ドル=120円”といった伝え方をしているのです。
つまり、「1ドルと120円を交換するよ。1ドルほしいなら120円払ってね」ということです。
※ 実際に通貨を交換する時にはこの為替レートに金融機関や通貨交換所へ支払う手数料分が乗るのですが、簡潔に説明するために省略しています。
この為替レートは24時間刻々と変動しています。
つまり、この記事をお読みいただいているまさにこの時間にも為替レートは動いているわけです。
為替レートは常に変動するものであることは(多くの方がご存知でしょうが)覚えておいてくださいね。
また、為替レートが変動する要因についてですが、これをいきなり一から解説しようとすると、「難しいから理解できなくてもいいや・・・」となってしまう方が多いと思いますので、ここでは単純に日本と通貨交換先の国等の経済や政治の情勢などによって変動する程度に理解しておいていただければ良いでしょう。
「円安」「円高」って一体どういうこと?
「円安」と「円高」とは、為替レートが変動している中で、ある時点と比較した時に用いられる表現です。
どういうことかというと、たとえば昨日のドル円の為替レートをわかりやすく「1ドル=100円」だったとして、今日のドル円の為替レートが「1ドル=110円」になったとしたら、「(昨日と比較して今日の為替レートは)10円の円安」と表現することになります。
これに対して、今日の為替が「1ドル=95円になったとしたら、「(昨日と比較して今日の為替レートは)5円の円高」と表現することになります。
この「円安」「円高」が感覚的に掴みづらいところがある一番の原因は、上記の例でいうと「1ドル=100円」の時と比較して、「1ドル=110円」となった場合が単純に差し引き10円高くなっているのに「円安」と表現し、一方で、「1ドル=95円」となった場合が単純に差し引き5円安くなっているのに「円高」と表現するからでしょう。
その結果、「どっちが円安で、どっちが円高だったっけ?あー、わかんない・・・」となってしまう方が非常に多いのだと思います。
ここでつまづいて為替のことを学ぶのをやめてしまう方が本当に多いですね。
この「円安」「円高」をすっと理解しやすくするために、今日からは以下のように考えてみましょう。
「円安」「円高」は値段に対する表現ではなく、価値に対する表現である。
「ん?何言っているのか余計わからないよ・・・」
そうですね。
いきなりこんなことをいわれても何言っているかわからないですよね。
申し訳ありません。
要するに、「円安」「円高」というのは、「円の価値が低い」「円の価値が高い」ということを表す表現方法だということです。
詳しくお話していきましょう。
ここに1ドルがほしい日本人の方がいたとします。
昨夜TVのニュースを聞いたら「1ドル=100円」と言っていたので、1ドルを手にいれるために今日100円を通貨交換所に持って行きました。
そうしたら、今日は(昨日に比べて)円安になっていて、1ドル=110円でないと交換できなくなってしまいました。
1ドルに対して110円も払わなければならなくなってしまったのです。
1ドルが100円から110円になったということは、円の価値がドルの価値に対して相対的に低くなったということです。
100円では1ドルが手に入らなくなった、つまり円の価値が低くなってしまったから、昨日よりも10円も多く円を支払わなければならないのです。
別の見方で考えていきましょう。
1ドルを持っているマイケルくんが通貨交換所に行きました。
昨日は1ドル=100円の為替レートでしたが、今日は1ドル=110円でした。
すると、昨日に比べて今日は持っている1ドルで100円から110円へと10円も多く手に入るわけですから、ドルの価値が高くなり、円の価値が低くなったといえるわけです。
ここでもう一ついえるのは、「円安」「円高」は昨日今日といったような時系列で相対的に円の価値が下がった上がったということでもありますが、その一方で、「円安」=「ドル高」「円高」=「ドル安」といったように二通貨が天秤に乗せられたように片方の価値が上がるともう片方の価値が下がるということでもあるということです。
ドル円に学ぶ「円安」「円高」〜外国為替の基礎まとめ〜
「円安」と「円高」の簡単なまとめをすると、1ドル=100円を基準とした場合、
1ドル=120円は、ドルの価値が高く円の価値が低いため、「円安」と表現されます。
その一方、
1ドル=80円は、ドルの価値が低く円の価値が高いため、「円高」と表現されます。
円の価値を基準とした表現なので、1ドルに対して円の数字が大きくなると「円安」、円の数字が小さくなると「円高」ということです。
ここまでで、「外国為替」とはどういうものか、通貨の交換は「為替レート」によってされること、そして「円安」「円高」はどういうものかを学んできました。
できるかぎり平易に説明したつもりですが、ご理解いただけたでしょうか?
実は私たちの生活に密接に関わっている「外国為替」
みなさんは食料品等を購入するためにスーパーやコンビニによく行きますでしょうか?
おそらく大半の方がかなりの頻度で行っていることでしょう。
なのでご存知の方も多いかと思いますが、現在ではスーパーやコンビニに置いてある食べ物などがすべて国内産ということはありません。
かなり多くの食料品等が海外から輸入しているという場合が多いです。
たとえば牛肉はアメリカやオーストラリア産が多いですし、最近では野菜も中国産のものが増えています。
このように海外から輸入しているということは、「貿易」が行われているということです。
ここで昨年2014年に世界中で行われた貿易を貿易額という金額ベースで見てみましょう。
国際銀行間通信協会の調べによると、最も多いのはアメリカの「ドル」で貿易総額の実に44%を占めています。
ちなみに日本の「円」で取引された貿易額は2.7%に過ぎません。
この数字だけをみても、アメリカの「ドル」が国際的な貿易の場で大きな影響力を誇っているといえるでしょう。
話を戻して、今現在、日本でこれだけ便利な生活を日々送ることができるのは、貿易のおかげといっても過言ではありません。
この便利な生活に密接に関係している貿易の実に4割強の金額がアメリカの「ドル」で行われていることを考えれば、私たちの生活に「外国為替」も密接に関係しているということが容易に想像できますよね。
たとえ話になりますが、ここにアメリカで牧場を営んでいるマイケルがいるとしましょう。
このマイケルから牛を購入するために、みなさんがマイケルに一万円札を何枚、何十枚、何百枚渡してもマイケルは牛を売ってはくれないでしょう。
みなさんがマイケルから牛を購入するためには、「円」を「ドル」と交換して、アメリカの「ドル」でマイケルに牛の代金を支払わなければならないのです。
※ 厳密にいうとマイケルが「円」を受け取って「ドル」に交換するという手もありますが、結果的にマイケルがほしいのは「円」ではなく「ドル」であることに違いはありません。
こうして見てみれば、みなさんの生活に「外国為替」がどれほど密接に関係していて影響を与えているか、イメージがしやすいかと思います。
為替がみなさんの生活に密接に関係しているからこそ、日々TVのニュース等で「今日の為替レートは1ドル=◯◯円です」と発表しているわけです。
貿易の影響が大きい生活を送っているからこそ外国為替の基礎知識は役に立つ!
では、「円安」「円高」の知識をここで生活に役立ててみましょう!
たとえば、マイケルの牧場で考えてみましょう。
※ 以下では為替手数料は考慮に入れないでお話していきます。
マイケルの牧場の牛一頭の価格が1万ドルだったとします。
為替レートが「1ドル=100円」だったとすると、日本「円」では100万円(=1万ドル×100円/ドル)となります。
100万円を通貨交換所で1万ドルに交換すれば牛一頭が購入できるわけです。
この1ドル=100円という為替レートを基準として、まずは円高になったらどうなるか見てみましょう。
1ドル=80円の円高になったとすると、日本「円」は80万円(=1万ドル×80円/ドル)で牛一頭が購入できるようになります。
これは1ドル=100円の時と比較すると、牛一頭あたり実に20万円も安く購入することができるということです。
ですから、その牛をアメリカから日本へ輸送して牛肉としてスーパーが販売する時は仕入れが20万円安く済むことになりますので、店頭販売価格もその分安く提供することができます。
消費者の立場からすると、100gの牛肉が100円だったところが80円で購入できるようになったと考えればわかりやすいでしょう。
それでは、1ドル=120円の円安になったとするとどうでしょうか?
この場合、日本「円」では120万円(=1万ドル×120円/ドル)で牛一頭を購入しなければならなくなります。
その牛を日本に輸送してスーパーで販売する時は仕入れが20万円高くなってしまいますので、その分店頭販売価格に上乗せせざるを得なくなります。
つまり、100gの牛肉が100円だったところが120円支払わないと購入できなくなってしまうというわけです。
※ 現実的には為替以外の要因が絡むことがありますので、仕入価格の変化と店頭販売価格の変化が同じ変化率になるとは限りませんので、その点はご注意ください。
ここまできてようやくですが、冒頭の「円高の時はブランド品購入のチャンス!」という意味が腑に落ちたのではないでしょうか?
円高なら海外の商品は日本「円」で換算すれば安く購入することができるからこそ、”円高還元スーパーセール”なんていうものが行われたりするんですね。
ちなみに円高で安く仕入れられた商品をそのまま消費者に安く提供するというセールがこの円高還元スーパーセール等と呼ばれているものになります。
ここまでで円安と円高がみなさんの生活の中でどのように関わってくるかということをお伝えしてきました。
私たちの生活にとって為替は「円高嬉しい、円安悲しい」が基本
私たちの生活については、海外から日本へ輸入された商品を日本の円で購入することを前提としています。
これは、「円高」なら輸入製品の価格が安くなるので買いやすく、「円安」なら輸入製品の価格が高くなり買いづらくなる、というところに焦点を当ててお話してきたことになります。
日本の円の価値が高い「円高」の時には海外の商品やサービスが安くなるので生活が楽になり、円の価値が低い「円安」の時には生活が辛くなる傾向にあることがこれまでの説明でご理解いただけたかと思います。
「円高は生活が楽、円安は生活が苦しい」=「円高嬉しい、円安悲しい」
これが私たちの「生活」に着目した時の為替の見方の基本です。
「投資」では円安が”悲しい”から”嬉しい”に変わる!
実は「生活」に着目して為替を見ていたのを「投資」に着目して為替を見るようにすると景色がガラリと変わります。
「また大げさにわけわからんこと言ってるな」と思った方ももう少しおつき合いくださいね。
つまり、投資では「円高悲しい、円安嬉しい」という感覚に変わるのです。
わかりやすく解説していきましょう。
ここでの「投資」とは海外の金融商品や外貨建ての金融商品を購入することです。
この場合、まずはみなさんが保有している日本円を海外の通貨に替える必要があります。
※ 以下、為替手数料は考慮せずに説明していきます。
たとえば、1ドル=100円の時にアメリカドルを1ドル買って、1ドル=120円の時にアメリカドルから日本円に戻せば、100円で買った1ドルが120円で売れることになりますので、差し引きで20円分の利益が出ます。
つまり、ドルを購入してから再度円に戻すまでの間に為替レートが「円安」に進んでいると、ドルを購入した時よりも多くの円と交換できることになりますので、「円安」だと利益がある、円安メリットを享受できるというわけです。
これに対し逆に「円高」に動いてしまうと損失が出ることになります。
たとえば、1ドル=100円の時にアメリカドルを1ドル買って、1ドル=80円の時にアメリカドルから日本円に戻せば、100円で買った1ドルが80円で売ることになってしまうので、差し引き20円分の損失が出ます。
ドルを購入してから再度円に戻すまでに為替レートが「円高」に進んでいると、ドルを購入した時よりも少ない円との交換になってしまいますので、「円高」だと損失が出るというわけです。
以上のように、海外もしくは外貨建ての金融商品を利用して「投資」を行っていく際には、「円高は損失、円安は利益」という構図になります。
これが、先ほど「投資」では「円高悲しい、円安嬉しい」とお伝えした理由です。
結局為替が「円安」はメリット?それともデメリット?
「生活」に着目すると「円高嬉しい、円安悲しい」という構図、「投資」に着目すると「円高悲しい、円安嬉しい」という構図ですから、全く真逆の構図になります。
これでは「円高」と「円安」、どちらが私たちにとって良いのかわからなくなってしまいますよね。
単純に「生活」する分には「円高」に進んでほしいけれど、海外や外貨建ての金融商品を購入して「投資」していたらそれは則ち損失が出るということです。
逆に海外や外貨建ての金融商品を購入して「投資」する分には「円安」に進んでほしいけれど、食料品やガソリン等はその影響で高くなってしまい「生活」は苦しくなってしまいます。
これでは、まさに”板挟み”といった状況ではありませんか?
結局のところその時々の状況に応じて、つまり「円高」・「円安」どちらの傾向に動いているかによって、みなさんがお持ちのお金を「生活」と「投資」どちらにどれだけ振り分けなければならないかを検討する必要があるということです。
これができるか否かによって「円安」はメリットにもデメリットにもなり得るということです。
外国為替の見方は「生活」と「投資」どちらに着目するかで180°変わる!
「生活」に着目すると「円高嬉しい、円安悲しい」という構図で、「投資」に着目すると「円高悲しい、円安嬉しい」という正反対の構図になります。
ですから、円高に進むのも、円安に進むのも、みなさんにとってどちらもメリット・デメリットあるわけです。
「海外投資や外貨建ての金融商品への投資は為替リスクがあって円高で損をするのが嫌なのでやりたくない」というのも一つの考え方というかスタンスとしてありでしょう。
しかし、今日現在、みなさんがこの日本で日常生活を送るにあたって食料品をはじめとした輸入品にかなりの程度頼っているという事実を思い出してください。
これをしっかり頭に置いた上で考えれば、外国為替を活用した投資を少なくとも検討に入れる必要があるといえるでしょう。
ここで注意していただきたいのは、私たちがお伝えしたいのは、巷間よく喧伝されているような海外投資や外貨建ての金融商品への投資は金利が高いので有利というような短絡的な話ではないということです。
「生活」と「投資」の横軸でなく、為替の「円高」と「円安」の縦軸で見てみよう!
それでは、二律背反の関係にあるこの「円高」「円安」をどのように捉えていけば「投資」はうまくいくのでしょうか?
以下の図をご覧ください。
ここまでにお話してきた為替の「円高」「円安」を「生活」「投資」に分けて、そのメリット・デメリットが一目でわかる図になっています。
しかし、この図を「生活」と「投資」に各々焦点を当てて横に見続ける限り答えは見えてきません。
それでは二律背反をずっと確認し続けるにすぎないからです。
為替の仕組みをうまく活用して「投資」に活かすためには、この図を縦に見ていく必要があります。
ちょうど上の図を以下の2つの図のように見ていきます。
そう、実は単純な話で、図を縦に、「円高」の時は「生活」は楽なので◯、「投資」は損失が出るので×。「円安」の時は「生活」は苦しいので×、「投資」は利益が出るので◯、というように見れば良いのです。
大事なところになりますので、「円高」「円安」各々の局面を詳しく解説していきます。
「円高」の局面
「円高」の時って「生活」は楽になっている場面ですよね。
その生活が楽な「円高」の局面で海外投資や外貨建ての金融商品への「投資」で損失が出ていても、「生活」が楽になっている分その痛みは少なくとも軽減されているといえます。
損失が出ているのに痛みが軽減されているというのは言い過ぎに聞こえるかもしれませんが、輸入品の価格が下がって「生活」が相対的に楽になっている局面では、預貯金の取り崩しを抑えて毎月のお給料のみで「生活」しやすいともいえますので、ある程度は問題ないといえるでしょう。
たとえば、1ドル=10円という極端な「円高」になってしまった場合、「投資」上は大きな損失を被るでしょうが、食料品等輸入品の価格もそれに伴って大幅に安く購入できる可能性が高い状況なわけです。
牛丼一杯が50円以下で食べられることになるかもしれません。
「円安」の局面
「円安」の時って「生活」は苦しいわけです。
輸入品がほぼすべて値上がりするわけですから生活は×。
極端にいえば、牛丼一杯が2,000円になるかもしれないですし、日本では大きく輸入に依存しているガソリンも大幅に値上がりする可能性が高いわけですから、輸送コストも跳ね上がってしまうかもしれません。
そうなると、輸送コストが跳ね上がった影響で、輸入品以外の国内産の商品やサービスの価格も上昇するおそれがあります。
もし、牛丼一杯が2,000円もしたら、今の月給の価値は大きく目減りしてしまうことになりますよね。
月給20万円で一杯400円の牛丼なら500杯食べることができますが、「円安」の影響で一杯2,000円なんてことになったら20万円の月給では100杯しか食べることができなくなってしまいます。
20万円の価値をこの牛丼で測るとすると、500杯の価値から100杯の価値へ、つまり20万円の価値は1/5に目減りしてしまうということです。
もちろん月給が「円安」になった分だけ上がってくれればそれに越したことはありませんが、時事刻々と変化する為替レートに連動して給料が変わっていく会社なんてほぼ皆無ですよね。
こういった「生活」が苦しいタイミングでご自身で海外投資や外貨建ての金融商品へ「投資」している場合は大きな利益が見込めます。
「生活」が苦しければ苦しいほど、大きく利益が出ている可能性が高いというわけです。
※ ここでのお話は「円高」「円安」に焦点を当てているので、その他の要因は捨象しています。現実にはここまで二律背反することは考えづらいですが、基本的な見方としてご理解ください。
「投資」を何もしていない状態こそ為替リスクがあると考えましょう!
「投資」を行う際には、「何をもって損失とするか」をしっかりと理解した上で行う必要があります。
もちろん単純に10万円が8万円に値下がりすれば2万円の損失が出るわけですが、その損失である20%分物価が下がったとすると「投資」のマイナスと「生活」のプラスが相殺されてプラスマイナスゼロと考えることができます。
逆もまた然りで、10万円が12万円に値上がりすれば2万円の利益が出るわけですが、その利益である20%分物価が上がったとすると今度は「投資」のプラスと「生活」のマイナスが相殺されてこれもまたプラスマイナスゼロといえます。
ここで、「どちらに転んでもプラスマイナスゼロなだけじゃない!」と思った方は素晴らしい感覚をお持ちですね!
そもそもですが、海外投資や外貨建ての金融商品へ投資を行っていない「今」、まさに「今」あなたは為替変動リスクに常に晒されているということです。
もちろん別の意味合いでは海外投資や外貨建ての金融商品へ投資することは為替変動リスクを伴います。
ただみなさんの生活全体で考えれば、何もせずに日本で暮らしているだけで為替変動リスクを好むと好まざるとにかかわらず負っているのです。
日本円しか保有していないから、「円高嬉しい、円安悲しい」という状態なわけです。
要はバランスの問題です。
常にバランスを考えて、「円高」だろうが「円安」だろうが、「生活」にリスクが極めて少ない状態、常に「投資」について考え実行し資産形成や資産運用を継続していく状態をできるだけ早いうちから築き上げることができた人が圧倒的に有利となるのはここまでのお話でご理解いただけたでしょう。
「投資」を何もしていない状態でも為替リスクに晒されている。
海外投資や外貨建て金融商品へ「投資」しなくても為替リスクを負っている。
この言葉はぜひ覚えて理解してください。
日本がまったく輸出や輸入といった貿易をしない完全な自給自足の国ならば日本円という自国通貨だけで事足りるでしょう。
ただ今の日本はそうではありませんし、そしてこれから将来の日本においてもそうなることはまずないといって良いでしょう。
そうである以上、海外投資や外貨建ての金融商品への投資は少なくとも検討しておいたほうが良いといえます。
外国為替の影響をプラスマイナスゼロにするよう意識し続けるのが最も大事!
ここまでのお話をご理解いただければ、「投資」において安定的に資産を増やしていくための為替の基本的な考え方をマスターしたと考えていただいて良いでしょう。
常に為替の影響が「生活」「投資」を合わせたトータルでプラスマイナスゼロの状態を築き上げるよう意識し続けることが最も大切です。
これを意識して考え実行していけば、「投資」を通じて資産形成や資産運用が行えますし、それが安定的に資産を増やしていくことにつながります。
そして、そうすることによって、海外旅行に行くこと自体は特別なイベントかもしれませんが、海外旅行資金というお金の側面からは何ら特別な問題ではなくなるのです。