資産運用においてポートフォリオをどのように組み立てるかは非常に重要です。そこで今回はマイナス金利時代にあって一定の運用成果を出すためのポートフォリオの作り方についてお話していきます。投資信託と現金の割合をシミュレーションしつつシンプルな方法をお伝えしますのでぜひ資産運用の実践にお役立てください。
前の記事:資産運用初心者におすすめの「絶対収益追求型投資信託」とは?
マイナス金利に勝つ!資産運用でのポートフォリオの作り方
初心者は絶対収益追求型投資信託を活用してシンプルに組み立てる!
ポートフォリオとは金融商品の組み合わせのことです。
株式はどの銘柄を何株持つか、債券はどの銘柄をいくら持つかなどを検討するという意味です。
ポートフォリオとよく混同される用語としてアセットアロケーションがあります。
これはポートフォリオが具体的な金融商品の詳細な組み合わせのことを指すのに対し、アセットアロケーションは大雑把な資産配分のことを指すという違いがあります。
マイナス金利時代においては株式投資を主軸においたほうが良いことはすでにお伝えしました(※1)。
※1 マイナス金利時代の資産運用で選ぶべき金融商品の種類は?を参照のこと。
ただ、だからといって資産運用に回す余裕資金のすべてで株式投資をすれば良いというものではありません。
株式はリスク(※2)のある金融商品ですから、突発的な株価の値下がりなど不測の事態に備えて、分散投資すること、また預金などで現金ポジションを確保しておくことが重要です。
※2 投資のリスクとリターンについて考えるを参照のこと。
株式投資における分散投資には大まかには銘柄分散と時間分散の2つが考えられます。
銘柄分散とは1銘柄ではなく複数の銘柄に分けて投資すること、時間分散とは投資する時期を分けることです。
ここで、自力で株式投資をしようという方は、株式と現金の割合を考慮しつつ、どの株式を何株購入するかの組み合わせを検討していく(※3)のがポートフォリオ策定の手順になります。
※3 マイナス金利時代の資産運用で失敗しないための株式投資の基本を参照のこと。
しかし、これは資産運用初心者の方にとってはハードルが高いと思います。
そこで、銘柄分散や時間分散といった株式投資における分散投資を運用のプロであるファンドマネージャーに任せてしまう、つまり絶対収益追求型投資信託(※4)を活用するという方法があります。
※4 資産運用初心者におすすめの「絶対収益追求型投資信託」とは?を参照のこと。
この場合、自力で株式投資をするのとは異なり、どの株式を何株購入するかの組み合わせを検討していく代わりに、まず購入する絶対収益追求型投資信託を選び出すことが最も重要かつ優先すべきことになります。
これさえ出来てしまえば、あとは資産運用に回す余裕資金の中で投資信託と現金の割合をどのようにするかを検討するだけです。
マイナス金利に勝つ!資産運用でのポートフォリオの作り方
投資信託と現金の割合をシミュレーション比較すると・・・
それでは、選び出した絶対収益追求型投資信託と現金の割合をどのように決めれば良いのでしょうか?
ここではイメージしやすいように一つ例を出してシミュレーション比較していきましょう。
注:以降で提示する投資信託の基準価額等はすべてイメージです。また、説明をシンプルにするために各種手数料や税金は考慮しておりません。実際の運用では元本割れとなるリスクを伴うこと、各種手数料や税金が掛かる場合があります。あらかじめご了承ください。
資産運用に回せる余裕資金が3000万円、運用期間を10年間。
現在(0年)からの10年間で、2本の投資信託(無分配)の基準価額が以下のように推移したとします。
投資信託(投信1・投信2)の基準価額の推移
投信1と投信2、両者ともに現在(0年)の基準価額は10,000円、10年後の基準価額は13,500円で同じですが、途中経過は投信1よりも投信2の基準価額のほうが変動が大きくなっています。
この投信1と投信2をそれぞれ現在(0年)全額(3000万円)一括購入した場合と現在(0年)から9年後まで毎年300万円ずつドルコスト平均法(※5)で積立購入した場合、現在(0年)1000万円購入しそれ以降は現在(0年)の基準価額10,000円を5%以上下回った年のみ500万円ずつ購入という一括と積立の混合購入した場合で考えます。
※5 積立投資の代表格「ドルコスト平均法」のメリットと弱点を参照のこと。
売却はすべての場合で10年後に基準価額13,500円でしたとします。
どのような結果となるか見ていきましょう。
投信1:基準価額の推移
投信1:一括購入の場合
投信1:積立購入の場合
投信1:混合購入の場合
基準価額の推移に基づいて、それぞれの購入方法での購入数量(口)を計算します。
購入数量(口)=購入金額(円)÷購入基準価額(円)×10,000
注:小数点以下四捨五入
ex. 3,000,000(円)÷10,300(円)×10,000≒2,912,621口
投信1:購入方法別の購入数量
投信2:基準価額の推移
投信2:一括購入の場合
投信2:積立購入の場合
投信2:混合購入の場合
基準価額の推移に基づいて、それぞれの購入方法での購入数量(口)を計算します。
購入数量(口)=購入金額(円)÷購入基準価額(円)×10,000
注:小数点以下四捨五入
ex. 3,000,000(円)÷9,500(円)×10,000≒3,157,895口
投信2:購入方法別の購入数量
さて、ここからは投信1と投信2でそれぞれの購入方法に基づいて、10年後の基準価額13,500円で売却した時の売却代金と損益金額、損益率、年平均損益率を計算します。
売却代金(円)=総購入数量(口)×基準価額(円)÷10,000
注:小数点以下四捨五入
ex. 30,000,000(口)×13,500(円)÷10,000=40,500,000(円)
投信1・投信2:購入方法別の損益
注:損益率と年平均損益率は小数点第二位以下四捨五入
上の表にまとめたように、投信1と投信2、両者ともに一括購入の場合は購入時と売却時の基準価額が同一ですから、損益はまったく同じ(損益金額+10,500,000円、損益率+35.0%、年平均損益率+3.5%)になります。
一方、積立購入の場合は、投信1のように基準価額が現在(0年)の10,000円を一度も下回ることなく推移しているので一括購入の場合を下回る(損益金額+5,594,243円、損益率+18.7%、年平均損益率+1.9%)のに対し、投信2のように基準価額が現在(0年)の10,000円を下回って推移する局面があるので一括購入の場合を上回る(損益金額+11,538,073円、損益率+38.5%、年平均損益率+3.9%)結果となっています。
このように見ていくと、当然ですが、同一の基準価額で売却するのであれば、平均購入価額を低く抑えられれば抑えられるほど運用成果はあがることがわかります。
ですから、投信2で混合購入する場合が最も運用成果が高くなる(損益金額+14,442,221円、損益率+48.1%、年平均損益率+4.8%)わけです。
ここで問題になるのは、投信1で混合購入する場合をどのように考えるかということです。
この場合、現在(0年)の基準価額10,000円で1000万円分は購入するものの、それ以降は「現在(0年)の基準価額10,000円を5%以上下回った年のみ500万円ずつ購入」と定めたルールに該当しないため、購入する機会がありません。
そのため、10年後の売却時の運用成果は損益率で見れば一括購入の場合と同じ(損益率+35.0%、年平均損益率+3.5%)ですが、損益金額は一括購入の場合の1/3(+3,500,000円)に止まってしまいます。
この損益金額は、資産運用に回せる余裕資金3000万円を元本とすると、損益率+11.7%(≒3,500,000(円)÷30,000,000(円)×100)、年平均損益率+1.2%(≒11.7(%)÷10(年))と相対的に最低の運用成果であることを意味します。
ただし、これは運用期間である10年間、2000万円を現金のまま置いておいた場合の話です。
たとえば、運用開始から3年間が経過した時点で、基準価額が10,000円を大きく上回ってしまった投信1を買い増すことは諦め、以降は基準価額が下落している投信2を購入することを新たに検討すれば、運用成果は先ほどとは異なるものになるでしょう。
このように、現金ポジションを厚めに保有しておくことは、新たな投資機会を与えてくれるわけですから、決して悪いことではありません。
今回は結果的にどちらの投資信託も運用期間終了時に基準価額が上昇している前提でお話を進めてきました。
ただ、いかに絶対収益追求型投資信託で、信頼のおけるファンドマネージャーが運用していても、基準価額の大きな下落に見舞われることは大いにあり得ます。
その意味では、資産運用に回せる余裕資金全額を一括購入するのは避けたほうが良いでしょう。
あとは、手間をかけずに機械的にドルコスト平均法で積立購入するか、あるいは投資効率を求めて事前に定めたルールに基づいて混合購入するかは、資産運用に掛ける時間と労力、そして情熱によって皆さんそれぞれで自分に合った方法を検討してみてください。
注:上記本文中の図表等はすべて仮定の収益率に基づくシミュレーション・試算であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
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