前回(資産運用初心者「貯蓄100万円から資産1億円にしたい!」)は実際の相談を基に老後資金のための資産形成と資産運用について大枠の方法を見ていきました。ここで提示した運用利回りを達成するためにはどの種類の金融商品を中心に投資するかを決めることが重要です。そこで今回はおすすめの金融商品の種類について考えていきましょう。
初心者が押さえておくべき投資の原則、おすすめの金融商品選びのコツとは?
まず初心者の方に必ず押さえておいていただきたい投資の原則が2つあります。
1つは「価格が安い時に買って高い時に売る」ということです。
投資の原則1:価格が安い時に買って高い時に売る
上図にあるように投資対象として選んだ金融商品を価格が安い時に買って高い時に売れば利益を享受することができます。
ただ、当たり前といえば当たり前の話で頭では誰しもすぐに理解できることですが、投資の実践においては必ずしも誰もがこの原則にある通りにできているわけではありません。
むしろこの原則とは逆をやってしまっていることのほうが多いくらいかもしれませんね。
この原則の逆とはその金融商品を価格が高い時に買って安い時に売ってしまい損失を被るということです。
なぜでしょうか?
それはその金融商品のどの水準の価格が高いか安いか、またいつ価格が上昇するか下落するかという将来のことは誰にもわからないからです。
先を読む投資の世界では絶対というものはありません。
ただ、そうはいってもできるだけ逆をやらずにこの原則通りに投資を実践することはできます。
そのために押さえておく必要があるのがもう1つの投資の原則である「わからないものには投資しない」ということです。
投資の原則2:わからないものには投資しない
上図は1つの金融商品(ここでは「資産A」とします)に投資するかしないかを決定する際のプロセスを大まかなイメージとして表したものになります。
大半の初心者の方は資産Aが投資対象として利益が見込めるかどうかをいきなり判断しようとしてしまいがちです。
しかしこれは大きな間違いといえます。
投資対象として利益が見込めるかどうか以前にそもそも資産Aのことを十分わかっているかどうかが重要です。
ここでいう「わかる」とはその金融商品の特徴やリスク、また過去の推移や現状について他の人にきちんと説明できる程度に理解していることを指します。
これができないということはその金融商品を理解していない、わからないということであり、理解できるまで調べるかあるいはその段階で投資対象から外すべきです。
先ほどお伝えしたように先を読む投資の世界では絶対というものはないわけですから、現状調べられる範囲のことすらせずにその金融商品のことを理解できていない、わからないままその先の利益を見込めるかどうかを判断することは無謀といって差し支えないでしょう。
ここまでを踏まえた上で、おすすめの金融商品の選び方のコツをお伝えします。
初心者におすすめする金融商品の種類の絞り込み
上図で示しているように初心者の方が金融商品を「わかる」ためには”シンプル”に考える必要があります。
そのためには投資対象とする可能性のある金融商品を限定することです。
具体的には様々ある金融商品の中から思い切って株式と債券の2つに絞ることをおすすめします。
株式と債券に絞り込んだのは両者ともに数多ある金融商品の中でその特徴やリスクといった商品性がわかりやすい、また両者の価格には深い関係性が認められているためです。
次にこの株価と債券価格の関係性について説明し、これからの資産形成と資産運用ではどちらを中心とした投資がおすすめといえるかについてお話していきましょう。
これからの資産形成と資産運用で投資する金融商品の種類は◯◯がおすすめ!
株価と債券価格の関係性を説明するにあたってまずは金利と債券価格の関係についてお伝えする必要があります。
金利と債券価格の関係
上図にあるように年1%、売出価格(債券価格)100円で発行された債券があるとします。
債券はその商品性から予め定められた満期(償還期限)まで保有すれば売出価格と同額の債券価格100円、つまり元本満額が戻ってきます。
しかし、保有期間中に売却する場合、その時々の市場で動いている金利の情勢に応じて債券価格が上下しますので、元本が増えて利益となることがある一方で元本が減って損失となってしまうこともあります。
この時の金利と債券価格の関係を表したのが上図中央の2つです。
市場で動いている金利が下落している場合、この債券の年1%の金利の魅力が増すことになり債券価格は上昇、元本は増えて利益となります。
一方、市場で動いている金利が上昇している場合、この債券の年1%の金利の魅力が減ることになり債券価格は下落、元本は減って損失となってしまいます。
つまり、金利と債券価格は逆の動きをするということです。
さて今度はもう一歩踏み込んで市場で動いている金利が上昇あるいは下落するのはどういう時かについて考えてみましょう。
金利は経済の体温計と呼ばれることがあります。
そうすると金利が上昇していくということはその国の経済全体が温まっていく、つまり好景気に向かっているということになります。
一方で金利が下落していくということはその国の経済全体が冷え込んでいく、つまり不景気に向かっているということです。
つまり、端的にいうと金利が上昇している時というのは景気回復局面、金利が下落している時というのは景気後退局面にあたります。
この景気と金利の動向から株価と債券価格の関係が以下のように浮かび上がってきます。
景気と金利の動向でわかる株価と債券価格の関係
上図にあるように金利が下落から上昇に転じ景気回復局面にある場合、株価は上昇、債券価格は下落しやすくなります。
一方、これとは逆に金利が上昇から下落に転じ景気後退局面にある場合、株価は下落、債券価格は上昇しやすくなります。
それではなぜ株価と債券価格は逆の動きになりやすいといえるのでしょうか?
金利と債券価格の関係は先ほど説明した通りです。
金利が下落から上昇に転じ景気回復局面にある場合に株価が上昇しやすいのはこの時に多くの企業が業績回復し利益成長しやすい状態、逆に金利が上昇から下落に転じ景気後退局面にある場合に株価が下落しやすいのはこの時に多くの企業が業績低迷し利益成長し難い状態となるからです。
これを踏まえて現在どのような状態にあるかを金利から読み解いていきます。
歴史的な超低金利で終焉を迎える債券投資の時代
上図は1945〜2015年の70年間にわたる日米の長期金利の推移を表した超長期チャートです。
一目見てお分りいただけるように1985年付近を境に直近まで日米ともに金利が大きく下落しています。
ちなみに日本は2016年2月から日銀がマイナス金利政策を導入したこともあってこの後長期金利も一時マイナスとなる局面がありました。
一方で米国は2016年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利してからその経済政策(「トランプノミクス」と呼ばれています)に対する期待もあって長期金利は上昇に転じています。
先ほどお伝えしたように金利と債券価格は逆の動きをする関係にあります。
現状で日米ともに歴史的な超低金利にあるということは裏を返すと債券価格が極めて高い水準にあるわけです。
この点からすると米国は既に先んじて動いていますが、日米ともにこれから長期間にわたって金利上昇、債券価格下落となる可能性が高いと考えられます。
もうお分かりかと思いますが、債券価格が長期的に下落する場合、逆の動きをしやすい株価は長期的に上昇することが期待できます。
債券投資から株式投資の時代へ
つまり、上図で示したようにこれからは株式投資にとって有利になる時代に入ると考え、これからの資産形成と資産運用は株式投資を中心に据えて行っていくのがおすすめです。
もちろん、株価はその時々で上下するものですから、今すぐに株式を購入してずっと保有しておけば確実に右肩上がりの上昇を続けるというほど単純で甘いものではありません。
また、どの国のどの銘柄でも株式でありさえすれば良いということでもありません。
あくまでも資産形成や資産運用といった長期間にわたって投資を学び実践する上で、現状から読み解ける中で株式が債券と比較して利益を出せる見込みが高いということです。
この点には十分注意していただければと思います。
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