積立投資等で1000万円以上の資産形成ができた方は資産形成と並行して資産運用を実践する段階に入ります。資産運用を行うにあたってはバランスの取れたポートフォリオ作りが欠かせません。そこで今回はバランスの取れたポートフォリオ作りのための最適な資産割合など基本的な考え方についてお話していきます。
前の記事:複利計算でわかる初心者が今すぐ始めるべき積立投資とは?
バランスの取れたポートフォリオ作りのためにまず行うべきこととは?
資産運用の実践でバランスの取れたポートフォリオ作りにあたってまず行う必要があるのはリスク資産と無リスク資産の割合を考えることです。
ここでリスク資産と無リスク資産とはどういうものかといえば以下の通りになります。
リスク資産と無リスク資産
これらの割合を考えるとは要するに現時点の資産全体の内訳として元本変動リスクを取りつつ増やすことを目指して積極運用する部分(リスク資産)と元本確保を目指して安定運用する部分(無リスク資産)にどのように分けるかを決めるということです。
それではリスク資産と無リスク資産の割合はどのように決めれば良いのでしょうか?
これは皆さんそれぞれに置かれている家族状況、毎月の収入と支出、資産と負債などによってどの程度リスクを許容できるかというのは異なりますから、正直にいってしまえば人それぞれといえます。
ただ、そうはいっても目安となる割合を知りたいという方が多いかと思います。
そこで老後資金を目的としたライフワークとしての資産形成と資産運用(※1)を行う場合で考えてみましょう。
※1 資産形成から資産運用へ〜初心者におすすめの目安〜を併せて参照のこと。
※1の記事が初出になりますが、ライフワークとしての資産形成と資産運用における生涯を通じた資産残高の推移のイメージを示すと以下になります。
生涯を通じた資産残高の推移
上図は横軸に年代、縦軸に資産残高を表していますが、年代を20〜50代の現役世代と60代以降の老後世代の大きく2つに分けています。
この2つの世代を分ける節目がリタイアする年です。
一般的に20〜50代の現役世代はまだストックがない代わりにフローがありますから、資産形成と資産運用によって積極的に資産残高を増やしていく時期になります。
一方でリタイアという節目を迎えた60代以降の老後世代はストックがある代わりにフローが少なくなりますので、必然的に取り崩しによって資産残高は減っていきます。
そこでこの世代では存命中に資産残高に不足が出ないように安定的な資産運用によって資産残高をできる限り守りつつ次世代に残す算段を立てる時期になります。
これらを踏まえてリスク資産と無リスク資産の割合の目安を示すと以下の通りです。
リスク資産と無リスク資産の割合の年代別推移
上図でまず注目していただきたいのはリタイアする年です。
この時にリスク資産と無リスク資産がちょうど半々になるのが望ましいと考えます。
その理由は老後世代に入るにあたって公的年金等のフローでは不足する部分をストックの中の無リスク資産から順次取り崩せるようにしておく必要があるからです。
その後は徐々にリスク資産の割合を減らし、最終的にはリスク資産10%、無リスク資産90%というのが目安になります。
もちろん無リスク資産100%というのでも問題ありませんが、ライフワークとしての資産形成と資産運用で投資を一生涯にわたって楽しみながら実践する趣旨を考慮すると、少しくはリスク資産を残しておいたほうが良いでしょう。
一方で資産形成と資産運用を積極的に行うべき20〜50代の現役世代ではまずリスク資産100%としておきたいところ。
これは先ほどもお伝えした通りこの世代が一般的にストックがまだない代わりにフローがある、あるいは期待できる時期ですし、またそうである上に仮に幾度か判断を誤って損失が生じたとしても十分取り戻す時間が残されているからです。
ただ、そうはいっても年代を経るごとにリタイア年までの時間が迫ってきますので、20〜40代はリスク資産100%、50代以降リタイアの年までに徐々にリスク資産と無リスク資産を半々に近づけていくというのを一つの目安にすると良いでしょう。
ここまで資産運用の実践におけるリスク資産と無リスク資産の割合を年代を追って考えてきました。
次に考えるべきはリスク資産と無リスク資産、それぞれどのような金融商品で運用するかについてです。
これからの資産運用、リスク資産のポートフォリオ作りのシンプルな考え方
先に無リスク資産についてお話しておくと、これは老後資金として取り崩していくことを考えれば主に預貯金にしておけば十分でしょう。
もし少しでも高い利回りを狙うということであれば定期預金や個人向け国債を一部加えるのも良いかもしれません。
一方、リスク資産のポートフォリオはどのように考えれば良いでしょうか?
これを考えるにあたってまずは以前にもお伝えした投資の原則(※2)を踏まえる必要があります。
※2 資産運用で投資する金融商品の種類は何がベストか?を参照のこと。
リスク資産のポートフォリオを作る前に
上図は※2の記事のおさらいですが、投資の原則とは「価格が安いときに買って高い時に売る」、「わからないものには投資しない」の2つです。
これはリスク資産のポートフォリオを作る際にも当然遵守する必要があります。
これらの原則を踏まえてとくに初心者の方に向けてこれからの資産運用でリスク資産のポートフォリオに組み入れたいおすすめの金融商品を考えていきましょう。
以下の図は※2の記事でお話したことをまとめたものです。
リスク資産のポートフォリオはシンプルに株式のみで十分!
上図の上半分では投資の原則2である「わからないものには投資しない」を遵守するためにとくに初心者の方は投資対象の候補をシンプルに株式と債券に絞り込むのが望ましいということを示しています。
その上で上図の下半分では諸々の現状分析の結果、これからの資産運用は株式のみでリスク資産のポートフォリオを作ることをおすすめしています。
なぜ債券より株式なのかについて詳しくは再度になりますがこちらの記事(資産運用で投資する金融商品の種類は何がベストか?)でご確認ください。
ただ、株式と一口にいっても国内株もあれば外国株もありますし、規模別で大型株や中小型株、市場別で東証1部や東証2部、マザーズやJASDAQといった新興市場、また個別株かETFか、あるいはインデックスファンドかアクティブファンドか等々とあります。
このように具体的に見ていくと様々に選別していく必要があることがお分かりいただけるでしょう。
そこでこの先は次回、リスク資産のポートフォリオ作りにあたってどのような株式が適しているかについて考えていきたいと思います。
次の記事:シミュレーションでわかる!リスク資産のポートフォリオ運用
まとめ記事に戻る:【おすすめ】ライフワークとしての資産形成と資産運用
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