資産運用を行うにあたって分散投資がおすすめというのはよく聞く話です。しかし分散投資を評価する上で前提となるリスクとリターンの意味を正しく理解できていない初心者の方が少なくありません。そこで今回は資産運用におけるリスクとリターンの意味について代表的な金融商品の種類のリスクリターンを比較しつつお話ししていきます。
前の記事:アクティブ型投資信託での資産運用がうまくいかない理由
資産運用におけるリスクとリターンの本当の意味とは?
分散投資は以下の図にあるように「卵は一つのカゴに盛るな!」の発想から生まれました。
卵は一つのカゴに盛るな!
分散投資とは正反対の集中投資は卵(=資金)を一つのカゴ(=金融商品)に乗せておくようなもので、これではカゴを落とした瞬間に卵がすべて割れてしまいかねません。
そこで分散投資をすることで卵を複数のカゴに乗せておくことで一つのカゴを落としてもすべての卵が割れてしまうリスクを回避できるようにしたというわけです。
ここでリスクという言葉が出てきました。
このリスクは「危険性」という意味であえて使っています。
しかし資産運用において一般に使われているリスクの意味はこれとは異なります。
資産運用におけるリスクとは「不確実性」のことを指します。
このリスク(=不確実性)は、資産運用において投資した資金で得られる「収益」を意味するリターンに対して、このリターン(=収益)の振れ幅を表したもので、各金融商品の過去の運用成績から具体的に数値化できます。
たとえば、ここに1年満期、年率0.01%の円定期預金があったとします。
円定期預金は元本保証の金融商品ですから、途中解約せずに満期まで保有すれば確実に年率0.01%の利子が手に入ります。
そのため、この場合はリターン0.01%、リスク0%となります。
もう1つ例を出しましょう。
今度は過去の運用実績からリターンが6.4%、リスクが28.7%の先進国株式があったとします。
この場合のリスクはどのように解釈すれば良いのでしょうか?
以下の図をご覧ください。
資産運用におけるリスクとリターンは数値化できる!
上図は統計学でよく使われる標準正規分布表です。
この中央の盛り上がった部分がリターンである6.4%を示しています。
一方、先ほどお伝えしたようにリスクとは不確実性であり、リターンの振れ幅のことです。
そこでリターン6.4%を中央値として、これにリスク28.7%を±(プラスマイナス)します。
すると-22.3%(=6.4%-28.7%)〜35.1%(=6.4%+28.7%)と求められ、これは今後の先進国株式のリターンが統計上でいうと約7割の確率でこの範囲内に収まることを意味します。
このように資産運用におけるリスクとリターンはその過去の運用実績から各金融商品の将来にわたるリターンがどのくらい期待できるかを割り出すのに使えます。
各金融商品のリスクリターン比較でわかるリスクとリターンの関係性
ここからは各金融商品の過去の運用実績から割り出したリスクリターンを比較してみましょう。
以下の図をご覧ください。
金融商品種類別のリスクリターン比較
上図は株式と債券をそれぞれ(日本)国内、先進国、新興国に分け、これらに預貯金を加えた各金融商品のリスクリターン比較のイメージを表したものです。
一目瞭然でお分かりいただけるかと思いますが、リターンが低い金融商品はリスクも低くなり(ローリスク・ローリターン)、リターンが中程度の金融商品はリスクも中程度(ミドルリスク・ミドルリターン)、そしてリターンが高い金融商品はリスクも高くなっています(ハイリスク・ハイリターン)。
このように資産運用における金融商品のリスクとリターンは表裏一体の関係にあるのです。
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