初心者の方にとって資産運用方法は悩ましいものでしょう。おすすめの方法というのは様々な媒体を通じて紹介されていますが、それが本当に皆様各々にとって有益な方法とは限りません。一方でおすすめできない方法は共通するものがあります。そこで今回は資産運用を有意義に実践していただくためにこれについてお話していきます。
バランス型ファンド、ファンドラップ、SMA、・・・
国際分散投資は初心者にとっておすすめの資産運用方法とはいえない!
ここからお伝えしていく初心者におすすめできない資産運用方法とはずばり国際分散投資です。
これは意外と思われた方が少なくないかもしれません。
分散投資とは投資対象を多様化させることでリスクを低減させつつ好リターンを目指す資産運用方法のことで、以下の図にある「卵は一つのカゴに盛るな!」という発想から生まれました。
卵は一つのカゴに盛るな!
国際分散投資とはこの分散投資の一種で、株式や債券など資産の種類のみならず、国内外の投資先地域、通貨へ分散して投資することを指します。
一般的に効果の高い資産運用方法とされ、この国際分散投資を用いた代表的な金融商品やサービスにバランス型ファンド、ファンドラップ、SMAなどがあります。
ここではバランス型ファンドを例にとってお話していきましょう。
バランス型ファンドとは、国内外の株式と債券など複数の資産や市場へ分散投資する投資信託のことです。
バランス型ファンドのイメージ
上図はあくまでもイメージですが、このバランス型ファンドは資産の種類を株式と債券、投資先地域を日本と日本以外の先進国、新興国として、6資産各々に運用資金を均等に分けて投資しています。
それではこのバランス型ファンドがどの程度の運用パフォーマンスを上げることが期待できるものなのか、過去の各資産の価格推移等に基づいてシミュレーションしてみましょう。
国際分散投資の落とし穴
国内株式:配当込みTOPIX、国内債券:シティ日本国債インデックス、先進国株式:MSCIコクサイ指数(グロス、配当込み、円換算ベース)、先進国債券:シティ世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)、新興国株式:MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)、新興国債券:JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・グローバル・ダイバーシファンド(円換算ベース)、バランス型ファンド(6資産均等分散):国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券・新興国株式・新興国債券の均等保有ポートフォリオの2005年末から2015年末までの年次データを用いて算出
注1:上図は各資産を代表する指数の過去の一定期間における実績を示したものであり、将来の運用成果を予想あるいは保証するものではありません。また実際の運用では各種手数料や税金が掛かる場合がございます。予めご了承ください。
注2:円換算ベースは米ドルベース指数を基にしてL!NX(リンクス)株式会社が独自に円換算したものです。
上図は2005年末の各資産の価格を100として2006〜2015年の10年間で各指数がどのように推移していったかを表したものです。
ここで注目していただきたいのは2008年、リーマン・ショックが起こった年で、記憶に新しいという方も少なくないでしょう。
上図に書き記している通り、国内債券のみかろうじて2005年末に対してプラスを保っていますが、その他はシミュレーションしたバランス型ファンドを含めてマイナスに陥っています。
これが何を意味しているかというと、端的にいって大半の資産が下落した局面では分散投資の効果は発揮されにくいということです。
ちなみにこれは大半の資産が上昇した局面でも同様です。
なぜならどの資産の価格も上昇したのであれば、わざわざ分散投資せずともどの資産でも大なり小なり利益を出すことが可能だったわけですから。
ここから言えるのは、少なくとも分散投資は万能の資産運用方法ではないということです。
「それなら国際分散投資がおすすめの資産運用方法ではないというのは言い過ぎなのでは?」という声が聞こえてきそうですね。
実は国際分散投資がおすすめできない決定的な理由があります。
要注意!初心者におすすめできない資産運用方法とは?
資産運用をする上で最も大事なことは・・・
国際分散投資がおすすめできない決定的な理由とは投資の大原則に反するからというものです。
それではこの投資の大原則とは何でしょうか?
投資判断のプロセス
上図は資産Aに対して投資するかどうかを決定する際のプロセスを簡単にイメージとして表したものです。
ここでは投資対象としての資産Aのことをわかっているか、あるいはわかっていないかがまず重要になります。
次に十分にわかっていることを確認した上で資産Aが投資対象として見込みがあるか、あるいはないか判断していきます。
そして見込みありと判断した場合のみ投資することを決めるというわけです。
これは裏を返すと、そもそもわからないものには投資しないことを意味します。
このわからないものには投資しないということこそ、投資の大原則になります。
非常に単純で当たり前と思われたかもしれません。
ただ、単純で当たり前と思うものこそ最も大事なものであり、また口で言うのは簡単ですが実践するのは案外難しかったりします。
ここで国際分散投資にお話を戻しましょう。
皆様は国際分散投資が良いと聞いて、先ほど例に出したようなバランス型ファンドの購入を検討するとして、そこで運用されている各資産のことを十分”わかっている”でしょうか?
おそらく大半の方、とくに初心者の方は一部わかっているものがあったとしても、その他についてはわからないとお答えになるかと思います。
ですから、初心者の方が国際分散投資を用いた金融商品やサービスを選択してしまうのは投資の大原則に反してしまいやすいということになります。
これを避けるために本稿の最後として分散投資の一歩先について簡単にお話しておきましょう。
分散投資の一歩先へ
上図は分散投資の一歩先として厳選集中投資を提示しています。
この厳選集中投資とはまず各々の資産についてよく研究して十分わかっている状態にしてから投資するかどうかを判断していくことを指します。
これは先ほどお伝えした投資判断のプロセスそのものですね。
これを行うには時間が掛かりますし、根気も必要です。
ただ、資産運用で虎の子の資産を守り増やしていくためには最も大事なことと前向きに捉えてぜひ実践していただければと思います。
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