皆さんは債券とはどういったものかご存知でしょうか?ここでは債券の意味から債券の特徴やリスク、また債券投資に欠かせない債券の格付けの仕組みまでお話していきます。また、一口に債券といっても様々な種類があります。そこで債券の種類についても一覧でご紹介致します。
債券とは?
いきなりですが、みなさんは「債券」と聞いて何を思い浮かべますか?
「う〜ん、あんまりなじみがないな〜。でもニュースで国債の残高が日本はすごく増えていて、国の借金がやばいとかは聞いたことあるかも。この国債って債券の一種なんでしょ?」
こんな方も案外多いのではないでしょうか。
今回からはこの債券についてお話していきましょう。
債券とは、国・地方公共団体・企業など(発行体)が、投資家からお金を借りるために発行する有価証券です。
お金を借りた証拠として借用証書を残すことに似ていますね。
発行体はお金を借りているので、レンタル料(利子)を投資家に支払わなければなりません。
逆に、投資家はその債券の発行体にお金を貸していることになるので利子をもらうことができます。
通常債券は、あらかじめお金を返す期限(満期)が決められています。満期になると、借りたお金(元本)は全額返さなければなりません。
※ 満期が無期限で借り手のタイミングで返せるものや、様々な条件がついているものも存在します。
債券の基本的な特徴
債券の基本的な特徴をまとめると以下のようになります。
1. 満期には、額面金額(あらかじめ決められた満期時の金額)が戻ります。
2. 満期までの間、決められた利子を定期的に受け取ることができます。
3. 市場価格(時価)で途中換金することができます。
債券は途中で売却さえしなければ、基本的にあらかじめ決められた利子と、満期時の金額を受け取ることができ、利子は通常は銀行預金よりもはるかに高いので、安定的に資産形成や資産運用をする目的で利用する人も多いです。
債券のリスク
手堅く安定的な運用が見込める債券ですが、リスクもあります。
主なリスクは以下のとおりになります。
⑴ 信用リスク
債券の元本や利子の支払いが滞ったり、支払い不能が生じるリスクのことです。
このリスクをチェックするためには、発行体の事業内容や財務状況などに関する情報を確認する必要があります。
ですが、実際一般の人は細かいチェックが難しいので発行体の信用度を判断するための目安として格付けを参考にすることが多いです。
⑵ 価格変動リスク(金利変動リスク)
満期前に途中換金する場合は、市場価格(時価)での売却になります。
そのため、購入価格を上回ることもあれば、下回ることもあります(個人向け国債等除く)。
なお、通常は満期まで持てばこのリスクを回避することができます。
⑶ 為替変動リスク
外国の通貨で利息や償還金が支払われる債券の場合、それぞれの受取り時点における為替水準によって、円での受取り金額が変わります。
円安になった場合 → 円での受取り金額は増えます。
円高になった場合 → 円での受取り金額は減ります。
これが為替変動リスクです。
以上の3つのリスクが自分にとって許容できるのかどうかをよく考えて投資することが大切です。
債券の格付けの仕組み
格付けとは 債券ごとに元本や利息の支払いの確実性について、専門的な格付け機関が評価して、その度合いを簡単な符号(AAA「トリプルA」、B「シングルB」など)で表したものです。
格付けが高い債券ほど信用度が高く、低い債券ほど信用度が低いと一般的には考えられます。
この信用度に応じて、債券の利回り(金利)が異なります。
信用度が高いほど、利回り(金利)は低く、信用度が低いほど、利回り(金利)は高くなります。
これはわかりますよね。
皆さんがお金を貸す立場だったらどうでしょう?
返してくれるかわからない人ほどお金は貸したくないですよね。
世の中では信用がない人に対してはたくさん利息を支払わせ、信用がある人には利息は少しでいいですよというふうになっているのです。一度お金を借りた事がある人ならこの感覚はすぐわかるのではと思います。
日本国内の代表的な格付け機関は以下の2社になります。
JCR
R&I
一方で、代表的な国際格付け機関は以下の3社になります。
S&P
ムーディーズ
フィッチ
ちなみに後者の国際格付け機関については、S&Pとムーディーズが米国、フィッチが英国と米国に本拠地を置いています。
ここではS&P社の格付けを例にとってお話していきましょう。
S&Pの格付けでは、格付けが高い順に
AAA
AA(AA+・AA・AA−)
A(A+・A・A−)
BBB(BBB+・BBB・BBB−)
BB(BB+・BB・BB−)
B(B+・B・B−)
CCC(CCC+・CCC・CCC−)
CC
C
D
というようになります。
BBB+以上を投資適格、BB+以下の格付けを一般に投資不適格といいます。
投資不適格の債券は投資適格の債券より利回り(金利)が高い代わりにリスクも高いものとして位置付けられています。
みなさんがよく知っている企業の格付けがどれくらいなのか見てみると面白いかもしれませんね。
債券の種類一覧
みなさん、債券の最も有名なものとして「国債」については聞いたことがある方が大多数かと思います。
ただ一口に債券といっても実は様々な種類があります。
代表的なものを”発行者が誰であるか”と”債券のリターンの仕組み”の2つの区分けのし方から説明していきましょう。
発行者が誰であるかからの分け方
1. 公共債:国や地方公共団体が発行する債券
(1) 国が発行する「国債」
(2) 地方公共団体(都道府県市)が発行する「地方債」
(3) 公団・公庫・営団などの政府関係機関が発行する「政府保証債」
2. 民間債:民間の株式会社が発行する債券
民間債には、一般の株式会社が発行する「社債」と、特定の銀行と金庫が発行する「金融債」があります。社債のことを、一般に「事業債」といいます。
3. 外国債:外国政府や法人が発行する債券、略して「外債」
※ 公共債と民間債、これらの債券を総称して「公社債」と呼ぶこともあります。
債券のリターンの仕組みでの分け方
1. 利付債
利付債とは、発行日から償還期日になるまで、定期的(年1回または2回の場合が多い)に利息を受け取る事が出来る債券のことです。通常は発行時の価格=償還(満期)時の価格になります。
2. ディスカウント債
利率設定が低い代わりに、発行時の価格(売出価格)が額面よりも大幅に低く設定されている債券のことです。
額面金額の100%で償還されるため、買付価格と額面価格との差額を償還差益として得られます。
この仕組みを簡単に説明すると、たとえば額面価格を100円、買付価格を70円とした場合、買付時に70円を支払って満期(償還)時に100円を得ることになりますので、差額の30円分が償還差益となるということです。
3. ゼロクーポン債
ゼロクーポン債とは、利子が無いかわりに額面金額よりも大幅に低い単価で買うことができる債券のことです。
償還日に額面どおりの金額が償還されることが確定しており、利子による収益を償還時にまとめて取得できます。
ここの仕組みは上記のディスカウント債と同様です。
※ ディスカウント債とゼロクーポン債でその仕組みは同様ですが、ディスカウント債は利子がつくのに対してゼロクーポン債はその名のとおり利子がつかないという違いがあります。
この他にも、劣後債、優先証券、転換社債(CB)、仕組債といったものがあります。