債券の価格形成には、様々な要因があります。
ですが、その要因の本質は以下のとおり、シンプルなものです。
買い手が多ければ価格は上昇し、売り手が多ければ価格は下降する
これに尽きます。
債券の値動きは自然現象ではありません。
あくまでも取引する人たちが価値を決めているのです。
その点では株式の価格形成の要因と本質的には同様といえますね。
それでは次にもう少し具体的な債券の価格形成の要因を探っていくことにしましょう。
具体的な債券の価格形成の要因としては以下の2つが関わってきます。
1. 世の中の金利動向
2. 発行体の信用リスク
上記の1と2を総合して、債券価格は以下のように動きます。
金利が上昇すると、債券価格は下降
金利が下降すると、債券価格は上昇
これについて具体的にみていきましょう。
額面価格100円で発行された償還(満期)まで10年、利率が年3%の債券を例にとります。
債券の利率は、その債券をどこの国の通貨で発行するかによって、その国の長期金利(一般的には10年もの国債利回り)を基準として、発行体のリスク分の金利を上乗せすることで決まります。
この発行体のリスク分を上乗せする金利のことを、少々難しい用語で「リスクプレミアム」といいます。
今回の例の場合では、日本円建てで発行されていますから、日本の長期金利0.35%(2015年4月2日現在)を基準として、これを利率の年3%から差し引いた2.65%がリスクプレミアムということになります。
この債券を額面価格100円で購入して保有していたとして、1年後、基準金利である日本の長期金利が0%まで下がり、かつリスクプレミアムも1%に下がったとします。
そうすると、この時点で、この債券の計算上の利回りは1%ということになります。
ただ、元々の債券は利率が3%で固定されていますから、債券の価格が100円のままでは利回りは変わらず3%のままですので、計算上の利回りと比較して2%も高くなります。
そうするとどうなるか分かりますか?
答えは、
「魅力的な投資なので、買い手が多く集まる。そして債券の価格が上がる」
です。
要するに、利率は3%で固定されていても、計算上の利回り1%と同じ価値になるように債券価格は上昇していくということです。
これが債券の価格形成のメカニズムです。
今回の例では利回りが下がった場合でお話しましたが、利回りが上がった場合はこれと逆の動きになります。
今回は少し複雑で難しかったかもしれません。
ただこのメカニズムがわかってしまうと、他の金融商品(たとえば株式)の価格形成にも使えますので、ぜひ理解するようにしてくださいね。
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