なぜ景気循環は起こるのでしょうか?
そのメカニズムをお話していきます。
好景気のサイクルが繰り返されていく中でモノやサービスが売れすぎる状態になると、モノやサービス全体の価格が上昇していきます。
これは需要>供給によるインフレ(物価上昇)になるということです。
するとやがてインフレが行きすぎた状態となり、モノやサービスが徐々に売れなくなっていって、それが企業の利益減、企業の生産減、家計の所得減、雇用減、そして需要減へと繋がっていくのです。
もうおわかりかと思いますが、これが好景気から不景気への転換がなされる過程になります。
逆に不景気のサイクルが繰り返されていく中でモノやサービスが売れなくなっている状態にあるとモノやサービス全体の価格は下降していきます。
これは需要<供給によるデフレ(物価下降)になるということですね。
するとやがてデフレが行きすぎた状態となると、十分な安価でモノやサービスが購入できるようになるので、モノやサービスが売れるようになって、それが企業の利益増、企業の生産増、家計の所得増、雇用増、そして需要増へと繋がっていきます。
これが不景気から好景気への転換がなされる過程になります。
ただこれは理論上の話であって現実の経済ではここまで理路整然とした経路で景気循環がなされるわけではないということは注意が必要です。
たとえば昨今までデフレが続いていましたが、今般のアベノミクスといわれる一連の経済政策が行われるまでは、長らくデフレが続く中で自然な景気循環のメカニズムで転換点を迎え好景気へと移り変わることはなかったのは記憶に新しいところでしょう。
ここからは少々とっつきづらいかもしれませんので少しややこしいなと感じたら一旦飛ばしてしまっても構いませんが、景気循環にはいくつかの特徴的なパターンがあるというお話です。
このパターンは4つの種類があり、以下のようになります。
1. キチンの波(キチン循環)
約40カ月の周期を持つ景気循環。
企業の在庫投資が起因すると考えられている。
米国の経済学者キチンによって明らかにされた。
2. ジュグラーの波(ジュグラー循環)
約10年の周期を持つ景気循環。
企業の設備投資が起因すると考えられている。
仏国の経済学者ジュグラーによって明らかにされた。
3. クズネッツの波(クズネッツ循環)
約20年の周期を持つ景気循環。
建築物の需要が起因すると考えられている。
米国の経済学者(ノーベル経済学賞受賞者)クズネッツによって明らかにされた。
4. コンドラチェフの波(コンドラチェフ循環)
約50年の周期を持つ景気循環。
技術革新が起因すると考えられている。
ソ連の経済学者コンドラチェフによって明らかにされた。
上から順に景気循環の周期が短期から長期に流れている形式になります。
それぞれ起因しているものを細かく見ていくのは別の機会に譲りますので、ここでは長短あれども景気循環は実際に起こり続けているということだけ覚えていただければ結構です。