景気を測る指標を景気統計と総称します。
日本の景気統計には、景気動向指数、景気ウォッチャー調査、消費者態度指数、消費者物価指数、etc.が用いられています。
この景気統計の中でも代表的なものが景気動向指数です。
景気動向指数とは景気の動きを見るためにいくつかの指標を組み合わせたもので、毎月、内閣府より発表されています。
この指数は景気上昇の上限点である「景気の山」と景気の下降の下限点である「景気の谷」を判定するのに用いられています。
景気動向指数にはコンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があるのですが、これらはその測定する目的に違いがあります。
コンポジット・インデックス(CI)・・・構成する指標の動きを合成することで、景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的とする。
ディフュージョン・インデックス(DI)・・・改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを目的とする。
それぞれの測定方法や測定結果の見方については少々複雑なものになりますのでここでは省略します。
ところでこのCIとDIの使い分けについてですが、従来、後者のDIを中心とした公表がなされていましたが、近年、景気変動の大きさやテンポを把握することの重要性が増してきていることから、2008年4月以降はDIも公表されているもののCI中心の公表形式へと移行しました。
CIとDIは共通の指標を採用していますが、この指標についてはまず3つに分類することができます。
それは景気に対して先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数です。
これらは現在、先行指数11、一致指数11、遅行指数6で構成されています。
景気にしろ、物価にしろ、目に見えない捉えがたいものになりますので、みなさんの中には説明をお読みいただいてもなかなか「わかりづらい」「難しい」「実感がわかない」という感想を持つ方も多いことでしょう。
ただここまでであえてこうした現実には捉えがたい経済、とくに経済学的にはマクロ経済といわれるところに踏み込んで説明してきたかというと、みなさんに「鳥の目」を持っていただきたいからです。
物事を捉えるときに「鳥の目」「虫の目」と言ったりしますが、これは「鳥の目」が全体像の把握、「虫の目」が細かい部分の把握という意味です。
とかく資産形成や資産運用のお話になるとどうしてもみなさん自身やご家族といった家計から出発してその範囲内でのみ判断してしまいがちなものですが、私たちは自宅から一歩出れば地域社会や所属する会社や学校等のコミュニティの一員ですし、日本という国の一員ですし、もっといえば世界の一員でもあります。
これが動かしがたい事実なわけです。
ですから、日本経済や世界経済の環境変化の中でみなさん自身やご家族の資産形成や資産運用を行っているのだという視点をつねにお持ちいただければと思います。