インフレとデフレ、正式にはそれぞれインフレーション、デフレーションといいます。
それではそれぞれどのような意味なのでしょうか?
インフレとは(一般)物価が継続的に上がり、貨幣価値が下がっていく状態のことです。
一方、デフレとは(一般)物価が継続的に下がり、貨幣価値が上がっていく状態のことになります。
ここでいう物価は個別のモノやサービスである相対価格のことではありません。
あくまでもモノやサービスの価格を合計したものである一般物価を指しています。
そして需給でこの関係性を示せば以下のようになります。
需要>供給 → インフレ
需要<供給 → デフレ
ここまでは比較的わかりやすいかと思います。
それでは貨幣価値が上がっていく状態、下がっていく状態とはどういう意味でしょうか?
貨幣価値というとわかりづらいかもしれません。これを現金価値と少し言葉を変えてみましょう。
実は物価(モノやサービスの価値合計)と貨幣価値(現金の価値)とは相対関係にあるのです。
ここは大事なポイントです。この関係を表すと以下になります。
インフレ = 物価↑ = 現金価値↓
デフレ = 物価↓ = 現金価値↑
ちょっと抽象的な表現になってしまいましたので、相対価格と誤解しないように前置きした上で以下の図をご覧いただければと思います。
上記のように現在1000万円の現金を保有していて、イラストでは自動車を用いていますが、モノやサービスの価値合計が現在1000万円だったとします。
これが左側では年率2%ずつ物価上昇(インフレ)したすると10年後にはモノやサービスの価値合計は1219万円になり、一方で右側では年率2%ずつ物価下降(デフレ)したとすると10年後にはモノやサービスの価値合計は817万円になります。
現金は現在も10年後も1000万円は1000万円のままです。
すると左側のインフレになった10年後ではモノやサービスの価値合計が上がったために保有している現金では購入することができなくなり、その一方で右側のデフレになった10年後ではモノやサービスの価値合計が下がったために保有している現金で購入しても余りが出ることになります。
これがインフレ、デフレによる物価と現金価値の変化を表しています。
このようにしてインフレ、デフレはモノやサービスの価値合計と現金価値の相対関係による上下によってもたらされるものです。
そしてもう少し踏み込むと経済学的に多少議論があるところではありますが、モノやサービスの量はすぐに大きく増減するものではない前提でお話しすれば、現金の量によってインフレ、デフレが決定されるということできます。
これを経済学では少し難しい言い回しになりますが、貨幣数量説といいます。
モノやサービスの量 一定 現金の量↑ → インフレ
モノやサービスの量 一定 現金の量↓ → デフレ
ここまでがインフレ、デフレについての基礎になります。