一口に金融機関の役割といっても多岐に渡っています。
ただ最も重要な役割を集約してお話しましょう。
たとえ話としてよく用いられるのが、私たちの社会生活を人体と考えることです。
この場合、金融とは広義の意味でお金の流れですから、人体でいうところの血液ということができます。
この血液は体内を健康に保つためには常に体全体に行き渡らせておく必要があります。
この血液を常に行き渡らせるための血管の役割を果たすのが金融機関です。
つまり3つの経済主体とは別に金融の広義の意味でのお金の流れを滞らせずに循環させる役割を担うのが金融機関の経済活動における役割です。
この金融機関は日本では一般的に3つに分類することができます。以下のとおりです。
1. 政府系金融機関
2. 民間金融機関
3. 中央銀行(日本銀行)
これから一つずつ説明していきます。
1. 政府系金融機関
政府系金融機関は文字通り政府に紐付けされた金融機関を指します。
政府が全額出資している特殊法人です。
この特殊法人とは、少し難しい言い回しになりますが、「政府が必要な事業を行おうとする場合、その業務の性質が企業的経営になじむものであり、これを通常の行政機関に担当させても、各種の制度上の制約から能率的な経営を期待できないとき等に、特別の法律によって独立の法人を設け、国家的責任を担保するに足る特別の監督を行うとともに、その他の面では、できる限り経営の自主性と弾力性を認めて能率的経営を行わせようとする法人」(総務省HPより引用)とされています。
政府系金融機関はこの特殊法人として経済社会の発展や国民生活の安定などを目的として、一般の金融機関では困難な融資を行うなど、民間金融機関の不備を補完・奨励するために設置されています。
ここまでが教科書通りの説明ですが、近年ではこの「一般の金融機関では困難な融資を行うなど民間金融機関の不備を補完・奨励する」という役割が「民業圧迫」や「市場メカニズムを損なう」といった批判を浴びることが少なくないため、2000年代に入ってからの小泉政権以降では政府系金融機関の統合集約化や貸出残高の縮小の方針が出されたり、実際にこの統合集約化が行われたりしています。
政府系金融機関の代表的なものとしては、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、etc.が挙げられます。