私たちの生活にとって為替は「円高嬉しい、円安悲しい」が基本
私たちの生活については、海外から日本へ輸入された商品を日本の円で購入することを前提としています。
これは、「円高」なら輸入製品の価格が安くなるので買いやすく、「円安」なら輸入製品の価格が高くなり買いづらくなる、というところに焦点を当ててお話してきたことになります。
日本の円の価値が高い「円高」の時には海外の商品やサービスが安くなるので生活が楽になり、円の価値が低い「円安」の時には生活が辛くなる傾向にあることがこれまでの説明でご理解いただけたかと思います。
「円高は生活が楽、円安は生活が苦しい」=「円高嬉しい、円安悲しい」
これが私たちの「生活」に着目した時の為替の見方の基本です。
「投資」では円安が”悲しい”から”嬉しい”に変わる!
実は「生活」に着目して為替を見ていたのを「投資」に着目して為替を見るようにすると景色がガラリと変わります。
「また大げさにわけわからんこと言ってるな」と思った方ももう少しおつき合いくださいね。
つまり、投資では「円高悲しい、円安嬉しい」という感覚に変わるのです。
わかりやすく解説していきましょう。
ここでの「投資」とは海外の金融商品や外貨建ての金融商品を購入することです。
この場合、まずはみなさんが保有している日本円を海外の通貨に替える必要があります。
※ 以下、為替手数料は考慮せずに説明していきます。
たとえば、1ドル=100円の時にアメリカドルを1ドル買って、1ドル=120円の時にアメリカドルから日本円に戻せば、100円で買った1ドルが120円で売れることになりますので、差し引きで20円分の利益が出ます。
つまり、ドルを購入してから再度円に戻すまでの間に為替レートが「円安」に進んでいると、ドルを購入した時よりも多くの円と交換できることになりますので、「円安」だと利益がある、円安メリットを享受できるというわけです。
これに対し逆に「円高」に動いてしまうと損失が出ることになります。
たとえば、1ドル=100円の時にアメリカドルを1ドル買って、1ドル=80円の時にアメリカドルから日本円に戻せば、100円で買った1ドルが80円で売ることになってしまうので、差し引き20円分の損失が出ます。
ドルを購入してから再度円に戻すまでに為替レートが「円高」に進んでいると、ドルを購入した時よりも少ない円との交換になってしまいますので、「円高」だと損失が出るというわけです。
以上のように、海外もしくは外貨建ての金融商品を利用して「投資」を行っていく際には、「円高は損失、円安は利益」という構図になります。
これが、先ほど「投資」では「円高悲しい、円安嬉しい」とお伝えした理由です。
結局為替が「円安」はメリット?それともデメリット?
「生活」に着目すると「円高嬉しい、円安悲しい」という構図、「投資」に着目すると「円高悲しい、円安嬉しい」という構図ですから、全く真逆の構図になります。
これでは「円高」と「円安」、どちらが私たちにとって良いのかわからなくなってしまいますよね。
単純に「生活」する分には「円高」に進んでほしいけれど、海外や外貨建ての金融商品を購入して「投資」していたらそれは則ち損失が出るということです。
逆に海外や外貨建ての金融商品を購入して「投資」する分には「円安」に進んでほしいけれど、食料品やガソリン等はその影響で高くなってしまい「生活」は苦しくなってしまいます。
これでは、まさに”板挟み”といった状況ではありませんか?
結局のところその時々の状況に応じて、つまり「円高」・「円安」どちらの傾向に動いているかによって、みなさんがお持ちのお金を「生活」と「投資」どちらにどれだけ振り分けなければならないかを検討する必要があるということです。
これができるか否かによって「円安」はメリットにもデメリットにもなり得るということです。