「投資なんてパチンコや競馬、宝くじなんかと一緒でギャンブルでしょ。どうせ損するだけだしやりたくない」とはよく耳にする言葉です。
とはいえ「投資=ギャンブル」と言えるのでしょうか?
そこで今回は”投資とギャンブルの違い”についてお話していきましょう。
ギャンブルの「還元率」とは?
ところであなたは「還元率」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
「還元率」とは、投下したお金に対してどのくらい戻ってきたかをパーセンテージ(%)で表したものです。
たとえば、競馬に10,000円を使ったとしましょう。
その結果、5,000円が戻ってきたとすると50%(=5,000円÷10,000円×100)の還元率となります。
これが、15,000円の戻りだったとしたら、150%(=15,000円÷10,000円×100)の還元率となるわけです。
このように、還元率(%)=戻ってきたお金(円)÷投下したお金(円)×100で計算できます。
上記の例は、個人でギャンブルをした場合の還元率を示しています。
それでは、今度は複数の人がギャンブルをした場合の還元率を考えてみましょう。
たとえば、競馬にAさんとBさんともに10,000円ずつ使ったとします。
その結果、Aさんが5,000円、Bさんが15,000円戻ってきたとすると、2人分の還元率はどのようになるでしょうか?
答えは100%(=(5,000円+15,000円)÷(10,000円+10,000円))となります。
この例の場合、Aさんが負けた分の5,000円をBさんが総取りすることになりますので、全体としては投下したお金と戻ってきたお金は同じ(20,000円)になっているということですね。
そこでもう少し数値を大きくして話をしましょう。
たとえば、総数100人で競馬をして99人が1,000円ずつ負け、1人が99,000円(=1,000×99人)勝ったとした場合でも還元率は100%になりますよね?
「そうすると、どのギャンブルも全体では還元率100%!」
正解!
・・・と言いたいところですが、間違いです。
なぜなら、どのギャンブルも主催者が投下されたお金の中から経費や利益を抜き、その抜いたお金をギャンブルの結果に応じて分配しているためです。
ですから、あるギャンブル全体の還元率は必ず100%未満となります。
ちなみにパチンコ、競馬、宝くじ各々全体の還元率は以下の通りです。
パチンコ 80〜90%
競馬 75%
宝くじ 46%
ちょっと驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
この三者で最も還元率が高く、割の良いギャンブルはパチンコ、次いで競馬となっています。
宝くじは還元率46%ですから、宝くじを買った人全員から集めたお金の半分以上は主催者の経費や利益として持って行かれてしまっています。
「投資=ギャンブル」ではない理由は・・・
ここからは投資の「還元率」について考えていきましょう。
答えを先に言ってしまいますね。
投資の還元率は基本的に100%となります。
なぜなら、投資にはパチンコや競馬、宝くじなどのギャンブルとは違って主催者というものが存在しないからです。
厳密にいえば、株式投資の場合では、主催者は存在しなくても、投資家の受発注を仲介する証券会社が存在し、会社ごとに提示する売買手数料が掛かりますので、この分を差し引くと若干ですが還元率は100%を割り込むことになります。
しかし、上記のパチンコや競馬、宝くじのように10〜50%も主催者に持って行かれてしまうということはありません。
そこで先ほど申し上げた”あるギャンブル全体の還元率は必ず100%未満となる”ことを思い出してください。
投資は還元率が基本的に100%となるため、ギャンブルとは言えないと理解できるはずです。
これが”「投資=ギャンブル」は大いなる誤解”である理由です。
投資には元本割れのリスクが付きまとうことから、どうしても怖いもの、いかがわしいものとしてギャンブルと同一視してしまいがちです。
以上、今回のお話を参考に「投資はギャンブルではない」ということを念頭に置いて資産形成を行っていただければと思います。