ファンダメンタルズ分析とは、国や企業の基礎的要因、つまり「国や企業の今の状況」を知るための分析手法でした。
参考記事:ファンダメンタルズ分析とは?「国や企業の今の状況を知るための分析手法の基本についてわかりやすく解説
今回からは、ファンダメンタルズ分析の詳しい内容、特に「EPS」と「BPS」を取り上げていきます。
EPSとBPSはファンダメンタルズ分析の基本!
ファンダメンタルズ分析というのは、「会社が今どういう状況にあり、その状況と照らし合わせて株価が割高なのか、割安なのか」を判断するために行います。
純利益と比較して株価が高いのか安いのかを計算してみたり、純資産と比較して株価が高いのか安いのかを計算してみたりと、会社の経営状況の各項目と株価を対比して計算することが多いです。
なぜ「EPS」「BPS」から勉強するのかと言うと、この2つを用いて計算する分析方法がこの後にたくさん出てくるからです。正直、EPSとBPSの2つがとても有益な情報かというと、そうでもありません。これだけでは、株価が割高なのか割安なのかの判断は出来ないためです。
しかし、この2つが計算できないと、この後に学んでいく分析方法が計算できなくなってしまうでしょう。
もしくは、計算式の意味(何を知りたくて計算しているのか)が理解できなくなる恐れがあるので、ファンダメンタルズ分析の基本の「き」みたいな指標がこの2つなのです。
それでは早速、EPSから見ていきましょう!
EPSとは?
EPSは、「一株あたりの純利益」=「Earnings Per Share」の略です。会社の収益力を判断するために計算をします。EPSが高い会社は収益力が高く、低い会社は収益力が低いという評価となります。
EPSの計算方法
計算方法は、会社の1年間の活動の成果である「当期純利益」を、「発行済株式総数」で除して求めます。
EPS(円)=当期純利益÷発行済株式総数
この計算式からもわかる通り、投資家が1株を買った時に、その1株は会社の利益の何円分かが理解できます。
具体例を見ていきましょう。
ある会社の1年間の純利益が1億円だったとして、発行済株式総数が2万株だったとすると、
1億(円)÷ 2万(株)=5,000円 EPSは5,000円
となります。
この会社の場合には、会社が発行している1株あたりの純利益は5,000円ということです。
EPSは経営が好調な会社は上昇傾向となり、反対に経営が不調の会社は下降傾向となります。ここまでを聞くと、「なるほど。EPSは大きいほど良いんだな。」と思うでしょう。
しかしEPSは一時的な純利益の増加や減少でも大きく変わりますし、発行済株式総数が増加・減少した際にも変わります。
そこで、現時点のEPSの大小だけを見て投資判断するのではなく、1年前や2年前といった過去と比較して、どういった理由でEPSが増えたのか、減ったのかという推移と理由までしっかり調べることが大切です。
BPSとは?
それでは続いてBPSです。
BPSは「一株あたりの純資産」=「Book-value Per Share」の略で、経営の安定度を判定するために計算します。一般的に会社も個人もそうですが、負債が多い、つまり借金が多いと危ないとされますよね。
BPSは「一株あたりの純資産」を表す指標なので、借金が多い会社はBPSが低くなり、借金が少なく自分の資産である純資産が多い会社はBPSが高くなります。
よって、BPSが高い会社は経営が安定的、低い会社は経営が不安定と判断できることとなります。
BPSの計算方法
計算方法としては、会社が保有している「純資産」を「発行済株式総数」で除して求めます。
BPS(円)=純資産÷発行済株式総数
投資家が1株を買った時に、その1株は会社の資産の何円分なのかがわかる、というわけです。
具体例を見ていきましょう。
ある会社の資産が1億円、負債(借入金)が3,000万円、発行済株式総数が2万株の場合、
1億円-3,000万円=7,000万円が純資産
7,000万(円)÷2万(株)=BPSは3,500円 となります。
この会社の1株は会社の資産の3,500円分の価値がある1株である、ということがわかりました。
BPSは、経営の安定度を測ることができる指標ですが、実際にどれくらいの数値なら安定的で、どのくらいの数値なら不安定なのか、とする明確な数値基準はありません。
同業他社と比較したり、当該会社の1年前、2年前のBPSと比較して、経営が安定してきているのか、それとも不安定な経営になっているのか、という見方をするために計算する指標、と覚えておいてください。
まとめ
EPSは、「一株あたりの純利益」で、会社の収益力を判断するために計算を行い、EPSが高い会社は収益力が高く、低い会社は収益力が低いと判断できます。
また、BPSは「一株あたりの純資産」で、経営の安定度を判定するために計算を行い、BPSが高い会社は経営が安定的、低い会社は経営が不安定と判断できます。
この2つの指標は、以後に学んでいく分析方法の計算でも出てくる指標になります。ぜひ覚えておいてください!
それでは、次回はこのEPSとBPSを使って、ファンダメンタルズ分析の大御所である「PER」と「PBS」を勉強していきましょう!