前回までの記事で日経平均株価とTOPIXについて、それぞれの特徴などを見てきました。
では一方で、日経平均株価やTOPIXを利用した「NT倍率」という指標をご存知でしょうか?株式投資をしていく上では、知っておいて損はない指標です。
そこで本記事では、NT倍率とはどのような指標で、どのように投資に活かしていけばよいのか?について解説していきます。
NT倍率とは?
NT倍率とは、日経平均株価を東証株価指数(TOPIX)で割って計算した指標です。NT倍率の「N」は日経平均株価(Nikkei225)、「T」は東証株価指数(TOPIX)を表しています。
計算式:日経平均株価 ÷ 東証株価指数(TOPIX)
例えば、2020年11月18日現在の日経平均株価(終値)は25,728.14円 、東証株価指数(終値)は1,720.65ポイントでした。
この時のNT倍率は25,728.14(円)÷1,720.65(ポイント)=14.95倍(小数点第2位以下四捨五入)となります。
NT倍率の特徴とは?
NT倍率はどういう場合に役立つ指標かというと、日本国内の株式市場全体の動向(どこの業種・会社にお金が向かっているかの全体の状況)を把握する際に役立つものです。
日経平均株価の場合、「単純平均株価」のため、値がさ株(株価が大きい銘柄)に影響を受けやすいという特徴がありましたね。
これはたとえば株価が300円の銘柄よりも30,000円の銘柄のほうが、日経平均株価の動きに対する影響が大きいということです。
一方、東証株価指数(TOPIX)の場合、東証一部の全銘柄を対象にした銘柄ごとの「時価総額(株価×発行済浮動株式総数)」による株価指数であるため、時価総額が大きい銘柄(これを「大型株」といいます)の影響を受けやすい特徴があります。
さて日経平均株価やTOPIXの特徴を踏まえたうえで、NT倍率が上昇している時と下落している時に分けて考えてみると、その特徴が理解できます。
NT倍率が上昇している時
NT倍率が上昇している時は、「日経平均株価の上昇率が東証株価指数(TOPIX)の上昇率を上回っている」、もしくは「東証株価指数(TOPIX)の下落率が日経平均株価の下落率を上回っている」のでお金が値がさ株に集まる傾向が強いです。
NT倍率が下落している時
NT倍率が下落している時は、「東証株価指数(TOPIX)の上昇率が日経平均株価の上昇率を上回っている」、もしくは「日経平均株価の下落率が東証株価指数(TOIPIX)の下落率を上回っている」ので、お金が大型株に集まる傾向が強いということになります。
NT倍率を確認するには
最近の日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)によって算出されたNT倍率は、以下のチャートをご覧いただくとよいです。
NT倍率チャートはこちら(出典:SBI証券ホームページ)
まとめ
NT倍率は、日本国内の株式市場全体の動向(どこの業種・会社にお金が向かっているかの全体の状況)を把握する際に役立つ指標です。
現実的には、NT倍率だけを見て投資する方はあまり多くないでしょうが、国内における株式市場の全体感を確認する際に便利ではあるので、参考にいただければと思います。