外貨建ての投資商品に投資する場合、為替変動リスクが伴います。
為替レートは時事刻々と常に変動しているのですから、当然といえば当然ですよね。
ただ、当記事ではむしろ為替変動リスクを回避するために「投資」をする必要性があるということを説明していきます。
「え!?どういうこと?」と思われた方も少なくないかもしれませんが、それでは以下に説明していきましょう。
外国為替の見方は「生活」と「投資」どちらに着目するかで180°変わる!
「生活」に着目すると「円高嬉しい、円安悲しい」という構図で、「投資」に着目すると「円高悲しい、円安嬉しい」という正反対の構図になります。
ですから円高・円安の両方にメリット・デメリットがあるわけです。
「外貨建ての投資商品への投資は、為替リスクがあって円高で損をするのが嫌なのでやりたくない」というのも、一つのスタンスとしてありでしょう。
しかし今日現在、あなたがこの日本で日常生活を送るにあたって、食料品をはじめとした輸入品にかなりの程度頼っているという事実を思い出してください。
そして輸入品のことをしっかり頭に置いた上で考えれば、外国為替を活用した投資も少しは検討に入れる必要があるでしょう。
ただし、ここで注意していただきたいのは、世間でよく喧伝されているような外貨建ての投資商品への投資は金利が高いので有利、というような短絡的な話ではありません。
「生活」と「投資」の横軸でなく、為替の「円高」と「円安」の縦軸で見てみよう!
それでは、二律背反の関係にあるこの「円高」「円安」を、どのように捉えていけば「投資」はうまくいくのでしょうか?
以下の図をご覧ください。
ここまでにお話してきた、為替の「円高」「円安」を「生活」「投資」に分けて、そのメリット・デメリットが一目でわかる図になっています。
しかしこの図を、「生活」と「投資」に各々焦点を当てて横に見続ける限り、答えは見えてきません。
それでは二律背反をずっと確認し続けるにすぎないからです。
為替の仕組みをうまく活用して「投資」に活かすためには、この図を縦に見ていく必要があります。
ちょうど上の図を以下2つの図のように見ていきます。
そう、実は単純な話で図を縦に「円高」の時は「生活」は楽なので◯、「投資」は損失が出るので×。
「円安」の時は「生活」は苦しいので×、「投資」は利益が出るので◯、というように見れば良いのです。
大事なところになりますので以下、「円高」「円安」各々の局面を詳しく解説していきます。
「円高」の局面
「円高」の時は「生活」が楽になっている場面ですよね。
その生活が楽な「円高」の局面で、外貨建ての投資商品への「投資」で損失が出ていても、「生活」が楽になっている分その痛みは少なくとも軽減されているでしょう。
損失が出ているのに痛みが軽減されているのは、言い過ぎに聞こえるかもしれません。
しかし輸入品の価格が下がって「生活」が相対的に楽になっている局面では、預貯金の取り崩しを抑えて毎月のお給料のみで「生活」しやすいともいえますので、ある程度は問題ないといえます。
たとえば、1ドル=10円という極端な「円高」になってしまった場合、「投資」上は大きな損失を被るでしょうが、食料品などの輸入品価格もそれに伴って大幅に安く購入できるはずです。
もしかしたら、牛丼一杯が50円以下で食べられることになるかもしれません。
「円安」の局面
「円安」の時は「生活」は苦しいわけです。
輸入品がほぼすべて値上がりするわけですから生活は×。
極端にいえば、牛丼一杯が2,000円になるかもしれません。そして日本では大きく輸入に依存しているガソリンも大幅に値上がりする可能性が高いわけですから、輸送コストも跳ね上がってしまうでしょう。
そうなると輸送コストが跳ね上がった影響で、輸入品以外の国内産の商品やサービスの価格も上昇する恐れがあります。
もし牛丼一杯が2,000円もしたら、今の月給の価値は大きく目減りしてしまうことになりますよね。
月給20万円で一杯400円の牛丼なら500杯食べれますが、「円安」の影響で一杯2,000円なんてことになったら20万円の月給では、100杯しか食べれません。
20万円の価値をこの牛丼で測るとすると、500杯の価値から100杯の価値へ、つまり20万円の価値は1/5に目減りしてしまいます。
もちろん月給が「円安」になった分だけ、上がってくれればそれに越したことはありませんが、時事刻々と変化する為替レートに連動して、給料が変わっていく会社なんてほぼ皆無ですよね。
こういった「生活」が苦しいタイミングで、ご自身にて外貨建ての投資商品へ「投資」している場合は大きな利益が見込めます。
「生活」が苦しければ苦しいほど、大きく利益が出ている可能性が高いというわけです。
※ここでのお話は「円高」「円安」に焦点を当てているので、その他の要因は捨象しています。現実にはここまで二律背反することは考えづらいですが、基本的な見方としてご理解ください。
「投資」を何もしていない状態こそ為替リスクがあると考えましょう!
「投資」においては「何をもって損失とするか」をしっかり理解した上で行う必要があります。
もちろん単純に10万円が8万円に値下がりすれば2万円の損失が出るわけですが、その損失である20%分物価が下がったとすると、「投資」のマイナスと「生活」のプラスが相殺されてプラスマイナスゼロと考えることができます。
逆もまた然りで、10万円が12万円に値上がりすれば2万円の利益が出るわけですが、その利益である20%分物価が上がったとすると今度は「投資」のプラスと「生活」のマイナスが相殺されて、これもまたプラスマイナスゼロといえます。
ここで、「どちらに転んでもプラスマイナスゼロなだけじゃない!」と思った方は素晴らしい感覚をお持ちですね!
そもそもですが、海外投資や外貨建ての金融商品へ投資を行っていない「今」、まさに「今」あなたは為替変動リスクに常に晒されているということです。
もちろん別の意味合いで、海外投資や外貨建ての金融商品へ投資することは為替変動リスクを伴います。
ただ生活全体で考えれば、何もせずに日本で暮らしているだけで為替変動リスクを負っているのです。
日本円しか保有していないから、「円高嬉しい、円安悲しい」という状態なわけです。
要はバランスの問題といえます。
常にバランスを考えて「円高」だろうが「円安」だろうが、
・「生活」にリスクが極めて少ない状態
・常に「投資」について考え実行し資産形成や資産運用を継続していく状態
を早いうちから築き上げた方が圧倒的に有利なのはここまでのお話でご理解いただけたでしょう。
・「投資」を何もしていない状態でも為替リスクに晒されている
・海外投資や外貨建て金融商品へ「投資」しなくても為替リスクを負っている
この言葉はぜひ覚えて理解してください。
日本がまったく輸出入といった貿易をしない、完全な自給自足の国ならば日本円という自国通貨だけで事足りるでしょう。
ただ今の日本はそうではありませんし、これから将来の日本においても完全な自給自足にはなりづらいでしょう。
つまり、海外投資や外貨建ての金融商品への投資は、少なくとも検討しておいたほうが良いといえます。
外国為替の影響をプラスマイナスゼロにするよう意識し続けるのが最も大事!
ここまでの話をご理解されたら、投資で安定的に資産を増やすための、為替における基本的な考えをマスターしたと考えて良いでしょう。
常に為替の影響が「生活」「投資」を合わせた、トータルでプラスマイナスゼロの状態を築き上げるよう意識し続けることが最も大切です。
この意識を持ちながら実行していけば、「投資」を通じて資産形成や資産運用が行えますし、安定的に資産を増やしていくことにつながります。