銀行の預金残高が一気に潤うボーナスの日。
考えるだけで心がワクワクするボーナスですが、その使い道はお決まりでしょうか?
とはいえ日本は貯金大国。
モノやサービスを購入するのではなく、預貯金に目がいってしまうのは、日本人の堅実性と経済や世界情勢の不安定さを物語っているかのようです。
確かに、このご時世での貴重な臨時収入だからこそ、将来のために大切にとっておきたいですし、時期が来たときに何か意味のある使い方をしたいものです。
しかし、せっかくまとまった収入を「預貯金」として銀行口座に寝かせておくだけでは、利子がほとんどつかないだけではなく、数年後にその価値が目減りしてしまう可能性があることをご存じでしょうか?
そこで今回は、「預貯金」がなぜ目減りしてしまうのか、またその解決策としての「投資」について解説したいと思います。
そもそもボーナスを「貯金」に回して大丈夫!?
突然ですが、アインシュタイン博士が発見した「72の法則」をご存じですか?
持っている資産を2倍にするための、金利と年数の関係を以下の通り数式で表したものです。
<運用利回りX%>×<運用年数Y年>=72
例えば、普通預金に入金された今季のボーナスを、そのままにしておいた場合、
銀行の普通預金は年利0.001%程度なので、この数式のXに0.001を当てはめるとYは7万2000となります。
つまり日本の銀行の普通預金では、元金を2倍にするのに7万2000年の年月がかかる、ということです。
多少の労力を使って定期預金に移し替えたとすると、利率の良いネット銀行などでは年利0.2%ほどなので、Yは360。
普通預金に比べれば、かなり短縮されて、360年で元金が2倍になる計算になりますが、これでは夢も現実味もまったくありませんよね。
そもそも、「金利がつかなくても今ある資産を守ることができれば十分だ」という声が聞こえてきそうですが、ここで注意しなければならないのが「インフレ(物価の上昇)」です。
日本のインフレ率は、諸外国に比べて低水準と言われていますが、それでもやはりインフレは進行しており、今後も更に加速すると言われています。
たとえば、ここに現在100万円の時計があるとします。
この先、年2%でインフレが継続した場合、先ほどの「72の法則」に当てはめると、36年後には時計の値段は2倍の200万円になってしまうのです。
ちなみに先程の普通預金金利が仮に単利であったとしても、年0.001%のままだと、36年後の元利合計は1,000,360円にしかなりません。
すでに店頭に並ぶ食料価格が次々と値上がりしている中、これではインフレに太刀打ちできません。
参考記事:72の法則とは?115の法則と共にわかりやすく解説
ボーナスを投資に回す理由
ボーナスで一時的に銀行口座の残高が増えたとしても、長期的に見るとそのまま銀行に置いたままでは利子がほとんどつかず、インフレによって資産が目減りすることに。
そこで、ボーナスをすぐに使う予定がなく、預貯金に回す予定の方々に提案したいのがインフレ対策にも効果的な「投資」です。
投資といっても株式や不動産をはじめ、原油や貴金属、穀物など様々な投資先がありますが、初心者でも始めやすいのが「投資信託」です。
投資信託とは複数の投資家から集めた資金を、専門家が国内外の株式や債券などに投資して運用し、発生した収益を投資額に応じて各投資家へ還元する金融商品です。
これを長期間保有をした場合、年間の平均利回りは3%から10%といわれています。
先ほどの72の法則の計算式に当てはめてみると、元金が2倍になるのは、
年3%の利回りで24年後
年4%の利回りで18年後
年6%の利回り12年後
となります。
インフレ率が2%だとしても、投資信託に投資しておけば目減りを防ぐことはできそうです。
確かにすべての投資商品にはリスクがつきもので、運用成績が悪かったり金融危機や紛争で株価が暴落したりすると、評価額が下がり原本割れのケースがあります。
しかし長期投資を前提として、ドルコスト平均法といった積立て式の方法を採用したり、投資対象の通貨や地域を分散することでリスクを回避できるのも、投資信託の特徴です。
初心者におススメの投資方法
そこで今回、投資初心者の方にオススメしたいのが、外国債券型の投資信託です。
債券は発行時に利率が決められ、満期までの間にその利子がもらえ、満期を過ぎると発行時の額面がそのまま償還されるという預貯金に似た性質があります。
そのうち、発行体・発行場所・発行通貨のいずれかが外国のものを外国債券といい、海外の国や地方自治体、企業などが発行しています。
外国債券の場合、国内債券より利回りが高い上に、満期時の為替レートによっては為替差益を得ることも可能です。
株式投資に比べると値動きが小さい代わりに、確実に金利を受け取れるメリットがあり、特に先進国の債券は比較的安定した投資先といえるでしょう。
一方、新興国の債券は利回りが高く設定されているものの、急激なインフレや政権交代、金融危機などで暴落する場合もあるのでリスクがゼロというわけではありません。
そこで、銘柄の選別や売買のタイミングを全て専門家(ファンドマネージャー)に任せることができる「投資信託」で、外国債券をメインに取り扱う商品に投資するのはいかがでしょうか。
多くの投資家からたくさんの資金を集めて、複数の国や地域が発行する公社債に投資できるため、リスクの分散にもなります。
また為替変動によるリスクを回避したい場合は、そのリスクを限定するための仕組みとして「為替ヘッジ」があるファンドを選択することも可能です。
参考記事:【3分で理解!】投資信託とは? 仕組みとメリット・デメリットを初心者にわかりやすく解説
NISAについて
投資には通常、利益に対して20.315%の税金が発生します。
極端に言えば、投資で利益が100万円出たら、そのうちの20万円超が税金で持って行かれてしまうのです。
この20.315%の課税が、非課税になる制度が少額投資非課税制度「NISA」です。
NISAには年間の投資限度額に上限はあるものの、NISA口座で運用している資産はすべて非課税になります。
中でも一般NISAは毎年120万円まで、一括購入で購入することも可能(つみたてNISAは月々の上限額が3万3,333円までと決まっています)で、購入から5年間、非課税の対象になります。
つまり、当該期間中の利子や配当金、売却益は丸ごと受け取ることができるのです。
ただし、NISAに関しては制度の変更が多いため、詳しくは金融庁の特設サイトを参考にするとよいでしょう。
まとめ
以上、ボーナスを貯金するのではなく、インフレなどから守るため投資へ回すことの重要性を解説しました。
昨今における円安の加速やインフレ率の上昇で、私たちの生活にも物価高の影響が及んでいます。そこで今後、ますます資産を守り増やしていく必要が出てきそうです。
大切な資産を堅実に守り増やしていくためにも、初心者の方は外国債券型の投資信託やNISAなどを活用し、賢い資産形成を目指していくとよいでしょう。
とは言え、どの投資信託を選択したらよいのか、どのようにNISAを活用したらよいのかわからない場合もあると思います。
そのようなときは一人で悩まずに金融のプロであるFPに相談して、より最適な資産形成を目指しましょう。