経済の意味と仕組み、GDP(国内総生産)を簡単にわかりやすく解説!

 

経済の意味と仕組みとは一体どういったものでしょうか?今回はこの根本的な問いかけに対して最も重要な経済指標であるGDP(国内総生産)について簡単にできるだけわかりやすく解説するとともに答えていきます。一通りお読みいただくとたとえば経済成長という用語が巷間いかにいい加減に使われているか驚くことになるかもしれません。

経済の意味と仕組み

みなさんは「経済」という言葉を聞いてどういったイメージをお持ちでしょうか?

何となく漠然としていて難しい、わかりづらいと毛嫌いされている方も多いことでしょう。

ただ「経済」とは私たちの生活と切っても切り離せないものです。

まずそもそも「経済」とはどういう定義づけができるものでしょうか?

元々は中国の古典に出てくる「経世済民」という言葉がその由来となっているのですが、旧来は今日でいう「経済」とは異なり政治・統治・行政全般を指す言葉でした。

それが幕末〜明治期になってイギリス等から古典派経済学の文献が輸入されるようになったことで、”economy”の訳語としての「経済」が定着するようになりました。今日でいう「経済」(economy)の定義は以下のとおりになります。

 

「経済」(economy)とは〜「経済」(economy)の定義〜

社会生活を営むための財やサービスを交換するしくみ

 

ちょっとわかりづらいかもしれませんね。

もう少し簡単にいうと、”「お金」、「モノ」、「サービス」の流れ”と言い換えることもできるでしょう。

これをイメージ図にすると以下のようになります。

 

スクリーンショット 2015-02-09 12.34.04

出典:経済産業省HP

 

私たちは上図のようなしくみの中で、時には生産者(企業人)としてモノやサービスを売る等働いてお金を得、その一方で消費者としてモノやサービスを買っています。

このイメージ図は現実の経済からするとかなり省略された非常に単純なものですが、まずはこれを頭に思い浮かべられるようにしておいてください。

 

GDP(国内総生産)とは〜三面等価の原則〜

GDPとは”Gross Domestic Product”の略称で、日本語では「国内総生産」と訳されています。

一言でいうと国内で1年間に生み出された生産物(モノ)やサービスの金額の総和のことです。

ちなみにこの生産物(モノ)やサービスの金額のことを付加価値とまとめて呼ぶこともあります。

実は上記で示したGDPの定義というのは生産面から見た定義といえるもので、この定義には他に分配(所得)面から見た定義支出面から見た定義という3つの側面から見た定義が存在します。

分配(所得)面から見たGDPの定義は生産面から見たGDPを家計や(民間)企業、政府それぞれに分配した金額の総和、支出面から見たGDPの定義は分配(所得)面から見たGDPを各々の支出項目ごとに支出した金額の総和となります

それぞれの定義を見ていただくと気づくことはないでしょうか?

そう、これら3つの側面から見たGDPはすべて等しく(合同、≡)になりますよね。

これが三面等価の原則です。

これを式にすると以下のとおりになります。

生産面から見たGDP ≡ 分配(所得)面から見たGDP ≡ 支出面から見たGDP

ただこの原則は生産されたものが過不足なく需要(「買いたい」という意欲)されていることを前提としていますので、現実にこの前提が充足されているとは考えづらいため、あくまでも理論上のものとして考える必要があります。

とはいえ理論上であっても出発点としては大切な原則ですからぜひ理解していただきたいところです。

通常このGDPを検討していくにあたっては支出面から見たGDPから考える場合が多いです。

 

日本のGDP(国内総生産)の推移

内閣府の国民経済計算(GDP統計)によれば2013年度のわが国のGDPは総計、内訳ともに以下のとおりになります。

 

2013(平成25)年度

GDP(支出側、名目) 

総計 483兆1103億円

内訳)

民間最終消費支出 296兆5388億円

政府最終消費支出 98兆7787億円

国内総資本固定形成 107兆5662億円

在庫品増加 -3兆8664億円

財貨・サービスの輸出入 -15兆9070億円

 

日本のGDPは2013年現在で483兆円超です。

大きな金額すぎてなかなかイメージが沸きづらいかもしれません。

これについては少しイメージしやすいようにこのGDPの総計をわが国の総人口1億2728万人(2013年度)で割ることで一人当たり(名目)GDPが求められるのですが、この数値は約380万円になります。

つまり日本人1人当たりで1年間に380万円程度の支出をしているという計算です。

これは月額に引き直すと約32万円ですから、少し多いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本人の平均と考えると実感としてそんなに遠い数字ではないのではないでしょうか。

また内訳に目を移すと、これらの支出項目をより簡潔に分けると個人消費(C、民間最終消費支出)政府支出(G、政府最終消費支出)投資(I、国内総資本固定形成+在庫品増加)純輸出(X-M、財貨・サービスの輸出入)となります。

これらにまとめるとGDPの内訳は以下のようになります。

 

個人消費(C) 296兆5388億円

政府支出(G) 98兆7787億円

投資(I)  103兆6998億円

純輸出(X-M) -15兆9070億円



少しすっきりさせて見てみるとわが国は個人消費(C)がGDP総計の約61.3%(C/GDP×100)と非常に大きなウェートを占めており、その一方で輸出から輸入を差し引いて求められる純輸出(X-M)が輸入超過によりマイナスですから足を引っ張っているのがお分かりいただけると思います。

ところで、みなさんはわが国の経済の特徴を小中学校で習う時に「貿易立国」である、つまり”他国との輸出入によって成り立っている国”だと教わりませんでしたか?

上記をご覧いただければお分かりいただけるようにその「貿易」を表したGDPの数値は純輸出(X-M)しかありません。

そして先ほど説明しましたが、純輸出(X-M)はわが国のGDP総計の足を引っ張る存在になっています。

つまり少なくとも現状においてわが国の経済はGDPの内訳の大きさから考えて「貿易立国」とはいえないということですね。

このように具体的な数字ベースをきちんと把握した上で現状を理解することは非常に大切です。

ちなみに「名目」という言葉についてですが、ここでは「出てくるそのままの数字」程度に考えてください。

 

日本のGDPの世界ランキングは何番目?

みなさんは「日本のGDPって世界で何番目?」と質問されて即答できるでしょうか?

答えを先に言ってしまいますが、わが国のGDPは2013年現在、世界3位です。

これまでにお話してきましたが、GDPというのは国ごとの経済規模をはかる上で重要な指標です。

そしてこのGDPを用いてわが国がどれくらいの立ち位置に現在いるのかを知るのは非常に大切なことです。

それではGDPの世界ランキングを見ていきましょう。

ちなみに数字は2013年現在、通貨単位がバラバラでは比較になりませんので便宜上国際決済通貨である米ドルに当時の為替で揃えています。

またデータ元はIMF – World Economic Outlook Databasesです。

 

世界の名目GDPランキング 対象国:188カ国

1位   アメリカ     16兆7680億USD     北米   

2位   中国       9兆4691億USD     アジア

3位   日本       4兆8985億USD     アジア

4位   ドイツ      3兆6359億USD     ヨーロッパ

5位   フランス     2兆8073億USD     ヨーロッパ

6位   イギリス     2兆5232億USD     ヨーロッパ

7位   ブラジル     2兆2460億USD     中南米

8位   ロシア      2兆0967億USD      ヨーロッパ

9位   イタリア     2兆0719億USD      ヨーロッパ

10位   インド       1兆8768億USD     ヨーロッパ

このランキングをご覧になってみなさんはどのように感じるでしょうか?

最近色々と経済的に暗いニュースが流されていますが、GDPの順位がこれだけ高ければわが国はまだまだ豊かではないか、そう感じますか?

感じ方はみなさん一人ひとり違うかと思いますがこうした客観的なデータを基に考えていくことが何よりも大切です。

ちなみに2008年の世界ランキングでは1位 アメリカ 14兆7185億USD2位 日本 4兆8491億USD3位 中国 4兆5477億USDでした。

この年までは日本はアメリカに次いでGDPは世界2位の座を長らく維持してきました。

中国に抜かれたのはこの翌年2009年からです。

ただ一つの見方として順位が下がったことよりも問題が大きいのは、2008年当時と比べて2013年現在、米国や中国がGDP総額をUSDベースで見て米国が+2兆495USD(+13.9%)、中国が+4兆9214億USD(+108.2%)と幅はあれども増加させているのに対して、日本は+3508億USD(+7.2%)と増加はさせているものの同じ先進国に数えられる米国と比較しても半分程度の割合しか伸びていないことでしょう。

ちなみにある国の国民一人ひとりの豊かさをはかる指標として一人当りGDPがありますが、このランキングで見ると日本は38,467.79USDと世界24位まで順位が下がります。

世界1位はルクセンブルクですが、112,472.52USDと日本国民一人ひとりのなんと3倍近くになります。

あくまでも一つの見方ではありますが、こうしてみてみると日本は他国と比較して相対的に経済的な豊かさを享受できているとは言い難いといえるでしょう。

ここまでわが国のGDPを他国と比較することにより見てきました。

少しは具体的にイメージできてきたでしょうか?

 

経済成長とは?名目値と実質値の違い

「経済成長」という言葉自体は新聞やTVのニュース、インターネット上等々で聞いたことがあるという方も多いと思います。

それでは経済成長とはどういう意味か答えられますか?

言葉自体はよく耳にして知っていることでも言葉の定義を正確に知っているかどうかとなるとそこまではという言葉って案外多いものですよね。

経済成長」とは付加価値(モノやサービスの金額)の生産が増大することです。

ここでGDPの定義を振り返りましょう

GDPとは国内で1年間に生み出されたモノやサービスの金額(付加価値)の総和でしたね。

よって経済成長とはGDPが増大することと言い換えることができます。

さらにいうと「経済成長率」というのもよく使われる言葉ですが、これは四半期(3カ月間)ないし1年間にGDPがどのくらい変化したかの割合ということになります。

経済成長率は以下の算式で求めることができます。

 

1年間の名目GDP成長率(%)=(今年の名目GDP – 前年の名目GDP)÷ 前年の名目GDP × 100

 

ここからは実例に基づいてお話していきましょう。

2013年度のわが国の名目GDPは483兆1103億円です。

同様にその前年、2012年度の名目GDPも内閣府の国民経済計算(GDP統計)より調べると474兆4749億円になります。これを上記の算式にあてはまめると以下のようになります。

(483兆1103億円ー474兆4749億円)÷ 474兆4749億円 × 100 = 1.82(%)

よって、日本はこの1年間で名目値で1.82%経済成長したということができます。

このように日本のGDPを時系列でその変化率である経済成長率を算出したり、その算出した日本の成長率と他国の経済成長率を比較することで、客観的な情報を通して現在のわが国の経済的な立ち位置や世界全体の経済情勢を(これだけでは大雑把ではありますが)知ることができま

 最後にここまで何気なく使ってきた名目値という言葉と、もう一つ実質値という言葉についてその違いをお伝えしておきましょう。

名目値については「出てくるそのままの数字」とお伝えしていました。

ここではもう少し正確にその定義づけをお話します。

これも内閣府が出しているものを引用します。

 

名目値・・・実際に市場で取り引きされている価格に基づいて推計された値。

実質値・・・ある年(参照年)からの物価の上昇・下落分を取り除いた値。

 

ちなみにここでいう参照年とは「内閣府が定めている基準の年」のことを指します。

これまでのお話は名目値ですべてお話してきました。

ただ実際はこの名目値以上に実質値が大切です。

なぜならば実際の経済ではインフレ(物価上昇)・デフレ(物価下降)による物価変動の影響を受けるためです。

経済を理解する上でまず何よりも重要な指標はGDP(国内総生産)です。

ここまでをしっかりと理解していただくことでみなさん一人ひとりの資産形成を考え行っていくにあたっての羅針盤がかなりの程度出来上がるでしょう。

内容が難しい箇所もあったかと思いますが、繰り返しお読みいただければと思います。

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