3つの基本ステップの一つ「お金を稼ぐ」意味について考える

3つの基本ステップの一つ「お金を稼ぐ」意味について考える

ふとした時、お金を稼ぐ意味について考えることはありますか?

たしかに資産形成の方法における、3つの基本ステップ(①お金を稼ぐ、②節約する、③投資する)の一つとして「お金を稼ぐ」ことは重要です。

ただ、お金を稼ぐということは人生のかなりの時間を費やして働くということですから、それ自体の意味を自分なりに考え、腹落ちさせておくことも大切です。

そこで今回は、一つ有名な小話をご紹介致します。ぜひ皆さんそれぞれがお金を稼ぐ意味を考えるヒントにしてください。

参考記事:”お金を稼ぐ”にあたって最も大切なこと

メキシコの漁師とアメリカ・ハーバード大学MBAのコンサルタント

メキシコの漁師とアメリカ・ハーバード大学MBAのコンサルタント

あるメキシコの海岸沿いの小さな村を、アメリカ・ハーバードMBA卒のビジネスコンサルタントが訪れました。

ある漁師が昼前であるにも関わらず、小さな船から降り自宅に戻るところに出くわしました。

その船を見ると、活きのいい魚がたくさん獲れています。

そこでコンサルタントは漁師に聞きました。

(コ)「いい魚ですね。漁にはどのくらいの時間がかかるのですか?」

(漁)「そうだな、数時間ってところだな」

(コ)「まだ日は高いのに、こんなに早く帰るのですか?」

(漁)「今日の分はもう釣れちゃったからさ」

(コ)「帰ってどうするのですか?」

(漁)「妻とのんびりするよ。一緒にシエスタ(昼食後の昼寝)を楽しむんだ。午後にはギターを弾きながら子どもと遊んで、夕暮れにはワインを傾けながら妻と会話を楽しむ。それで、寝ちまうよ」

それを聞いてコンサルタントはさらに質問をしました。

(コ)「なぜもう少し頑張って漁をしないのですか?」

漁師は聞き返しました。

(漁)「どうして?」

コンサルタントは言いました。

(コ)「もう少し長い時間、漁をすれば、あなたならもっとたくさんの魚が釣れるでしょう。それを売れば、もっと多くのお金が入り、大きな船が買えます。そうしたら、人を雇って、もっと大きな利益が出ますよ」

漁師は聞きました。

(漁)「それで?」

コンサルタントは答えます。

(コ)「次は、都市のレストランに魚を直接納入しましょう。そうすれば、さらに大きな利益を手にすることができます。そうしたら、この小さな村から出て、メキシコシティに行きます。その後は、ロサンゼルス、ニューヨークに出て行って、企業組織を運営すればいいんですよ」

漁師はさらに聞きました。

(漁)「でも、それって何年かかるんだい?」

コンサルタントは笑みを浮かべながら答えました。

(コ)「15年から20年ってところですね」

漁師はさらに聞きました。

「・・・。その後はどうするんだ?」

コンサルタントは満面の笑みでこう答えました。

(コ)「そこからが最高です。企業をIPO(※1)させて巨万の富を手に入れるんですよ」

漁師は最後に質問しました。

(漁)「巨万の富か・・・。それで、その後はどうするんだい?」

すると、コンサルタントはすかさずこう答えました。

(コ)「そうしたら悠々とリタイアですよ。小さな海辺の町に引っ越し、ご家族とのんびりシエスタ(昼食後の昼寝)を楽しみ、午後にはギターを弾きながらお子さんと遊んで、夕暮れにはワインを傾けながら奥様と会話を楽しみます。のんびりした生活を送れますね」

漁師はため息をつき、やれやれ、という顔でこう言いました。

(漁)「・・・そんな生活なら、もう手に入れているじゃないか」

※1 IPOとは、”Initial Public Offering”の略で、未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させること。

メキシコの漁師とアメリカ・ハーバード大学MBAのコンサルタント」の教訓とは

メキシコの漁師とアメリカ・ハーバード大学MBAのコンサルタント」の教訓とは

これは、アメリカ・ハーバードMBA卒のコンサルタントに対して皮肉をたっぷり込めた小話で、インターネット上でも話題になりましたので、ご存知だった方もいらっしゃるかもしれません。

突き詰めて考えると、資本主義(※2)について問い直す内容になっています。

資本主義は労働者を雇い入れた資本家の、飽くなき利益の追求を原動力としている経済体制ですから、これを前提とした考え方としては、コンサルタントが漁師に提案した資本家になることの提案は正しいでしょう。

しかし漁師は現状に満足しているわけです。

そこに資本主義の論理を、無理やり当てはめようとしていることに問題があるでしょう。

そして、当該小話から得られる教訓は、「お金を稼ぐ」ことはあくまで手段であって目的(※3)ではないということです。

漁師はあくまでも「妻とのんびりするよ。一緒にシエスタ(昼食後の昼寝)を楽しむんだ。午後にはギターを弾きながら子どもと遊んで、夕暮れにはワインを傾けながら妻と会話を楽しむ。それで、寝ちまうよ」

という家族団らんを楽しむ目的のためにお金を稼いでいるのであって、お金を稼ぐことを目的としていません。

もちろんお金を稼ぐことそれ自体に無上の喜びを感じるのであれば、それを目的とするのも一概に否定できないでしょう。

ただし多くの方にとっては、”〜のため”という目的達成のための手段として「お金を稼ぐ」ということの方が本質を突いていて、腹落ちするのではないでしょうか。

ですからこの「お金を稼ぐ」目的を明確にすることこそ、お金を稼ぐ意味について自分自身で問い直していくことに他ならないということです。

それでは最後になりますが当記事がお金を稼ぐことに対し、改めて考えるきっかけになればと思います。

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