株式や債券、投資信託といった金融商品に投資することは資産形成や資産運用を行っていく上で重要となってきます。ただ投資初心者の方の中には「投資ってリスクがあって怖い」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回はリスクの本当の意味、リスクとリターンの関係性やバランスなどについてわかりやすく説明していきます。
リスクに対する考え方
「投資ってリスクがあって怖い」の「リスク」とは、投資における「リスク」と別の意味で使われていることがほとんどです。
では、投資における「リスク」とは本来どういう意味で使われるものなのでしょうか?
一般に「リスク」というと直訳して”危険性”という意味で使われる場合が多いですが、株式投資をはじめとした投資の世界でのリスクとは”不確実性”を指します。
ですから、「この株は下がっているのでリスクがある」といった使い方は正確にいえば誤りです。
リスクとリターンの関係性
投資における「リスク」とは不確実性を示す一方で、「リターン」とは、投資をすることで得られる収益のことをいいます。
そして「リスク」が不確実性、つまりは「リターン」に対するブレ幅を指すわけですから、この投資における「リスク」と「リターン」は密接不可分、切っても切り離せない関係にあると言えます。
リスクとリターンを商品ごとに比較すると
ここからは一般的な投資商品を比較しながら、リスクとリターンについて踏み込んでお話していきましょう。
まず代表的な金融商品に「株式」と「債券」があります。
この「株式」と「債券」をここではさらに「国内株式」・「外国株式」・「国内債券」・「外国債券」に分けたとしましょう。
過去の計測結果から「リスク」と「リターン」の高低を、それぞれ並べていくと以下のとおりになります。
リスクが低い 国内債券 < 外国債券 < 国内株式 < 外国株式 リスクが高い
リターン低い 国内債券 < 外国債券 < 国内株式 < 外国株式 リターンが高い
リスクが低い金融商品はリターンも低く、一方でリスクが高い金融商品はリターンも高いという関係性があります。
よく「ローリスクローリターン」・「ミドルリスクミドルリターン」・「ハイリスクハイリターン」といったことが言われますが、この関係性を表しているというわけです。
たまに「”ローリスク”だけど、”ハイリターン”の金融商品があります」などと言って勧誘してくる金融機関の担当者がいますが、厳密にいえばそのような金融商品は存在しません。
もしあるとすれば、各金融商品を組み合わせて資産分散を図ることによって、一定程度リスクを抑えつつリターンを狙うことができるというだけです。
その場合でも、「ローリスクローリターン」・「ミドルリスクミドルリターン」・「ハイリスクハイリターン」の枠組みを飛び越えることはできません。
いずれにせよ、「リスクによってリターンが決まる」または「リターンによってリスクが決まる」というのは重要な考え方ですので、ぜひ覚えておいてください。
リスクの種類
投資に対するリスクの種類もさまざまですが、主には以下の6つが挙げられます。あなたの投資したい商品にあわせてこれらを理解するとよいでしょう。
価格変動リスク:株式や債券などの価格が上下すること
信用リスク:株式や債券の発行体である企業や国などが、債務不履行を起こす可能性のこと
為替変動:円高・円安によって投資商品の価格が変動すること
金利変動:金利の上下変動によって債券価格が上下すること
カントリーリスク:投資先の政治・経済情勢などが投資商品の価格に影響すること
流動性:投資する先の商品について換金が容易かどうか
リスクを回避するには~卵を一つのカゴに盛るな~
【卵を一つのカゴに盛るな】とは投資のリスク回避でよく使われる格言です。
卵(=投資資金)を一つのカゴ(=投資対象)に盛ってしまう、つまり集中投資すればこれを仮に落としてしまった場合、大きな損失を抱えてしまうことにも。
一方で卵をいくつかのカゴに分けておく、つまり分散投資すれば、仮にこのカゴを一つ落としてしまったとしてもその他のカゴの卵は無事となります。
つまり損失は限定されるか、または残ったカゴが落としたカゴの損失より利益が上回っていればトータルでプラスとなります。
このように、損失を限定させながら利益を取りにいく目的として行うのが分散投資のメリットといえるわけです。
では具体的にどう分散するかというと、主に資産・時間・投資地域の分散が挙げられますので、以下で説明します。
資産の分散
株式や債券など種類の異なる金融商品を混ぜ合わせて投資する方法です。そうすることで株式で利益が出なくとも債券でカバーできることになります。
また株式の中で銘柄を分散させるのも一つの手です。
しかし注意いただきたいのは複数の銘柄といっても、たとえば同じ業種の会社の株式を複数銘柄持ったとしましょう。そこで同業種全体が低迷したら、揃って値下がりする可能性が高いので、これではリスクを減らすことにはなりません。
したがって、異なる業種の会社の株式を複数銘柄持つなど、お互いの値下がりリスクを相殺するような銘柄を組み合わせるのがポイントになります。
時間の分散
債券や株式など、購入予定の投資商品を一度にすべて購入するのではなく、2回以上に分けて購入時期をずらして投資する方法です。
投資で利益を上げるための鉄則は、「安い時に買って、高い時に売る」です。
シンプルですがこれが最も大切です。
ただその投資商品の価格が、現在安いのか高いのかを判断するには様々な方法がありますが、その判断が正しかったかどうかは時間が経過して初めてわかるものです。
そこで、自分の判断は間違えているかもしれない可能性があるという前提に立って、例えば株式投資であれば複数の銘柄に分散するとともに、その購入の時期も複数回に分けて投資することがポイントになります。
地域の分散
日本も含むさまざまな国々の株式、債券、そして通貨へ分散投資する方法です。
例えばAという国で政変や不景気が発生して為替や株式相場などが下落するケースがあるとします。しかしB・Cといった別の国で政情や景気が安定し、利益が出れば損失がカバーできるケースがあります。
【さいごに】投資では「リターン」→「リスク」の順に計算する!
投資における「リスク」と「リターン」を考える場合、「リスク」=危険性という誤解が多いためか、「リターン」よりもまず「リスク」を考えてしまいがちです。
そうすると、できる限り「リスク」=危険性のないものを選ぼうという考えが先立ってしまいがち。
結果、元本保証の銀行預金や償還まで保有すれば元本割れのない国債、地方債そして社債といった選択肢しかないと錯覚しやすくなってしまいます。
ここで再度念押しでお伝えしておきます。
投資における「リスク」とは不確実性であり、リターンに対するブレ幅です。
この観点から考えると、まずご自身が必要とする「リターン」を基にして「リスク」を計算する必要があります。
ここのところを勘違いしたままだと、先ほど申し上げた元本割れが少ない商品などに目が行き過ぎて、ご自身で選択肢を狭める結果になるので注意いただければと思います。
そして実際に行動上でファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しながら判断したいという方は、私たちL!NX(リンクス)にいつでもお声かけくださいね。